「がんが消えた」と書くと違法なのか?

「がんが消えた」と書くと違法なのか?

◆「がんが消えた」と言ってはいけない?

最近、YouTubeやSNSを見ていると、「がんが消えた」「がんが治った」という話を目にすることがある。

医師が語っているものもあれば、本人が自分の体験を話しているものもある。

時代が変わったのだろうか。

以前なら、なかなか表に出てこなかった話が、今では誰でも発信できる。

私は、これはいいことだと思っている。

ただ、不思議なことがある。

私は出版社を経営している。

同じような話を本にしようとすると、

「それを書いて大丈夫ですか?」

「薬機法に触れませんか?」

という話になる。

ちょっと待ってほしい。

動画やSNSでは語られていることが、本になると問題なのだろうか。

もちろん、SNSなら何を言ってもいいわけではない。

でも、媒体が違うだけで、事実そのものが変わるわけではない。

だったら、問題は「がんが消えた」という言葉ではなく、何を、どう伝えるかではないだろうか。

◆「消えた」と「治した」は違う

例えば、ある人が病院で検査を受けた。

以前は確認されていたがんが、次の検査では確認できなくなった。

その人が「がんが消えたんです」と語ったとする。

その体験を書くこと自体が、直ちに違法になるわけではない。

ところが、

「この商品を飲んだら、がんが消えた」

となると、話は違ってくる。

本当に、その商品が原因なのか。

医学的な根拠はあるのか。

商品を売るための宣伝ではないのか。

そこが問われる。

私は、そもそも一つの商品だけで、がんが消えたと考えることにも違和感がある。

人間の身体は、そんなに単純なものだろうか。

食事、生活習慣、ストレス、免疫の働き、そして受けている治療。

さまざまな要因が関係しているのではないだろうか。

もちろん、特定の治療が大きな効果を発揮することもある。

でも、「がんが消えた」という結果と、「何によって消えたのか」という原因は別の話だ。

私は、この区別が大切だと思っている。

 

◆「がん細胞は、消えるのか?」と問いかけた理由

2026年、私は『がん細胞は、消えるのか?』という本を出版した。

山﨑教男さんが長年考えてきた38の生命仮説を紹介する本だ。

タイトルを見て、

「がん細胞が消えるなんて書いて、大丈夫なの?」

と思う人もいるかもしれない。

でも、ちょっと待ってほしい。

「がん細胞は、消える」

ではない。

「がん細胞は、消えるのか?」

問いかけているのだ。

私は、山﨑さんの仮説を、すべて証明された医学的事実として紹介しているわけではない。

仮説は仮説として伝える。

そして、読者に考えてもらう。

それが、私の出版に対する姿勢だ。

もちろん、疑問形にすれば何を書いても許されるわけではない。

だからこそ、編集が必要なのだ。

◆証明されていないことは、書いてはいけないのか?

医学の常識は、時代とともに変わってきた。

以前は否定されていた考え方が、研究によって認められることもある。

反対に、正しいと思われていたことが覆されることもある。

だったら、まだ証明されていない考え方は、出版してはいけないのだろうか。

私は、そうは思わない。

ただし、証明されていないことを、証明された事実として書くのは違う。

体験したことと、その原因が分かったことも違う。

そこは区別しなければならない。

私は、出版社の仕事は、すでに正しいと認められたことだけを伝えることではないと思っている。

まだ答えの出ていない問いを、世の中に投げかけることも大切な仕事だ。

◆「書けない」のではなく「どう書くか」

結局、「がんが消えた」と書くと違法なのか。

私は、その一文だけでは決まらないと思っている。

個人の体験を紹介するのか。

医学的な研究を解説するのか。

健康食品の効果を宣伝するのか。

目的や表現、販売の実態によって、法的な判断は変わってくる。

健康食品の広告で、がんへの効果をうたえば、薬機法や景品表示法などの問題になり得る。

だから、何でも書いていいわけではない。

でも、問題になるのが怖いから、何も書かない。

私は、それも違うと思っている。

「書いてはいけない」のではない。「どう書くか」が問われているのだ。

事実は事実として。

体験は体験として。

仮説は仮説として。

私は、これからも読者に問いを投げかける本を出版していきたい。

信じるな! 疑うな! 確かめろ!


【関連書籍】

『がん細胞は、消えるのか? 山﨑教男・38の生命仮説』

 

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