血液の中で動く小さな粒子。あれはいったい何なのか?

血液の中で動く小さな粒子。あれはいったい何なのか?

◆同じものを見ているのに、答えが違う

「ほら、動いているでしょう?」

顕微鏡で撮影された血液の映像を見せられた。

赤血球らしきものが並んでいる。

その周囲に、小さな粒子のようなものが見える。

確かに、動いている。

「これがソマチットです」

そう説明する人がいる。

一方で、同じような映像を見て、

「いや、それはブラウン運動でしょう」

と言う人もいる。

「細胞の破片じゃないの?」

という人もいる。

私は、ちょっと面白いと思った。

同じものを見ているはずなのに、答えが違う。

いったい、どういうことなのだろう。

 

◆人間は、見たものをそのまま見ていない?

例えば、夜空を見上げる。

星が並んでいる。

ある人は、それを「北斗七星」と呼ぶ。

ある人は、星の位置や明るさを調べる。

また別の人は、そこに神話の世界を見るかもしれない。

見ている星は同じだ。

でも、そこから受け取るものは違う。

顕微鏡の世界でも、同じようなことが起きているのではないだろうか。

ソマチットが存在すると考えている人は、小さな粒子の動きを見て、

「ソマチットだ!」

と思う。

そんな生命体は確認されていないと考える人は、

「別の現象だろう」

と思う。

もちろん、どちらかが正しいのかもしれない。

両方とも違うのかもしれない。

でも、私はそこで考える。

私たちは、見たものから答えを出しているのか。それとも、先に持っている答えに合わせて見ているのか。

 

◆20年以上前の宿題

私は20年以上前、森下敬一先生の月刊『自然医学』の出版部に勤務していた。

当時、森下先生の周囲では、さまざまな生命に関する話が飛び交っていた。

腸造血説。

生体内原子交換。

ソマチット。

今でも、よく覚えている。

特にソマチットは、不思議だった。

細胞よりも小さな生命体が存在するという。

しかも、環境によって姿を変えるという。

「そんなものが本当にいるのか?」

私は興味を持った。

でも、当時は、その正体を自分で確かめるところまではいかなかった。

分からないまま、時間が過ぎた。

それから20年以上。

2026年、鹿児島での出会いをきっかけに、山﨑教男さんを取材することになった。

山﨑さんの話には、ソマチットが何度も登場した。

私は思わず、

「また、ソマチットか!」

と思った。

20年以上前の宿題が、突然戻ってきたような気がした。

 

◆動くものは、生きているのか?

小さな粒子が動いている。

これだけ聞くと、何だか生き物のように思える。

でも、ちょっと待ってほしい。

水に浮かんでいる微粒子も、顕微鏡で見ると不規則に動くことがある。

ブラウン運動だ。

液体そのものが流れていれば、その流れに乗って粒子が動くこともある。

つまり、動いていることと、生きていることは違う。

では、どうすれば区別できるのだろう。

粒子の動きを記録する。

液体の流れを止めてみる。

温度や条件を変えてみる。

同じ動きが繰り返されるかを調べる。

そして、粒子そのものの成分や構造を分析する。

そうした検証を積み重ねて、初めて正体に近づけるのだと思う。

私は、顕微鏡の映像を見ただけで、

「生命体だ!」

と結論づけるつもりはない。

でも、

「ただのゴミだ」

と言って終わらせるのも、面白くない。

ゴミだと言うなら、何のゴミなのか知りたい。

 

◆「見える」と「分かる」は違う

私たちは、目で見たものを信じやすい。

写真がある。

映像がある。

実際に動いている。

そうなると、

「これは本物だ!」

と思いたくなる。

でも、映像は、そこに何かが写っていることを示していても、その正体まで教えてくれるわけではない。

例えば、遠くの空に光るものが写っていたとする。

「UFOだ!」

と言う人もいるだろう。

でも、飛行機かもしれない。

ドローンかもしれない。

レンズに反射した光かもしれない。

何かが写っていることと、その正体が分かることは違う。

顕微鏡も同じだ。

何かが見えた。

何かが動いていた。

そこまでは観察だ。

しかし、

「それはソマチットだ」

と名前をつけた瞬間、解釈が入る。

そして、

「生命の根源だ」

「自然治癒力に関係している」

と話が進めば、さらに別の検証が必要になる。

私は、そこを一つひとつ分けて考えたい。

 

◆顕微鏡をのぞく人間の頭の中

ここで、私はもう一つ考えた。

顕微鏡をのぞいているのは、人間だ。

その人間には、知識も経験も思い込みもある。

ソマチットが存在すると信じている人。

存在しないと考えている人。

何も知らずに初めて見る人。

同じ映像を見ても、感じることは違うだろう。

では、どうすればいいのか。

例えば、何を観察したのかを、先に記録する。

「ソマチット」という名前をつける前に、形や大きさ、動き方を記録する。

できれば、別の人にも観察してもらう。

その人には、最初から答えを教えない。

すると、何が見えてくるだろう。

みんなが同じものを確認できるのか。

それとも、違うものとして捉えるのか。

私は、こういうことをやってみたい。

もちろん、それだけで生命体かどうかが証明できるわけではない。

でも、少なくとも、思い込みと観察を分ける一歩にはなる。

 

◆実は、顕微鏡より難しいものがある

ここまで考えて、気がついた。

顕微鏡で小さな粒子を見ることも難しい。

その正体を調べることは、もっと難しい。

でも、もしかすると、それ以上に難しいことがある。

自分の思い込みを外して、目の前のものを見ることだ。

私はジャーナリストとして、いろいろな人を取材してきた。

同じ事件について話を聞いても、人によって説明が違うことがある。

ある人は、こう言う。

別の人は、まったく違うことを言う。

どちらも、自分が見たこと、経験したことを話しているつもりなのだろう。

でも、そこには解釈が入っている。

だから私は、できるだけ複数の人に話を聞く。

資料を見る。

事実関係を確認する。

顕微鏡の観察も、似ているのかもしれない。

「見た」という事実だけでは足りない。

「何を見たのか」を確かめなければならない。

 

◆あれはいったい何なのか?

血液の中で動く、小さな粒子。

それをソマチットと呼ぶ人がいる。

別の現象だと考える人もいる。

私は、どちらの説明にも、最初から結論を出すつもりはない。

ただ、知りたい。

何が動いているのか。

何でできているのか。

なぜ動くのか。

どんな条件で変化するのか。

それを調べた先に、何が分かるのだろう。

もしかすると、すでに知られている現象だと分かるかもしれない。

あるいは、まだ十分に説明されていない何かが見つかるかもしれない。

どちらでもいい。

私は、答えを決めてから顕微鏡をのぞきたくない。

最初に誰かが、

「これがソマチットです」

と言ったとしても、私はこう聞くだろう。

「そうなんだ。で、どうやって確かめたの?」

見えたものに名前をつけるのは簡単だ。

でも、その正体を明らかにするには、時間も手間もかかる。

だからこそ、面白い。

信じるな! 疑うな! 確かめろ!

20年以上前に残した宿題を、私は今、もう一度考えている。


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信じるな! 疑うな! 確かめろ! がん細胞は、消えるのか? 山﨑教男・38の生命仮説 

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商品紹介

信じるな! 疑うな! 確かめろ! がん細胞は、消えるのか? 山﨑教男・38の生命仮説    B6 196頁 釣部人裕 著 「がん細胞は、消えるのか?」 もし、そう問いかけられたら、あなたはどう答えるでしょうか。 「そんなことはあり得ない」と思うかもしれません。 反対に、「もしかしたら」と思う人もいるでしょう。 本書は、その…

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