本を出したいと思ったあなたへ──出版社に相談する前に、読んでほしいこと

本を出したいと思ったあなたへ──出版社に相談する前に、読んでほしいこと

「本を出したいのですが、相談できますか?」

出版社をやっていると、こういう問い合わせをいただきます。

すでに原稿を書き終えている人もいます。

まだ数ページしか書いていない人もいます。

「原稿はまったくありません。でも、本にしたいことはあるんです」

という人もいます。

どの段階でも構いません。

ただ、私は出版相談で、いきなりページ数や部数、出版費用の話から始めることはあまりありません。

 

最初に聞きたいことがあります。

「なぜ、それを本にしたいんですか?」

実は、ここから本づくりは始まると思っています。

 

「何を書くか」より、「なぜ本にするのか」

もちろん、どんな本を書きたいのかは聞きます。

教育について。

経営について。

健康について。

自分が経験したことについて。

専門家として何十年も研究してきたことについて。

小説を書きたいという人もいます。

 

でも、「何を書くのか」が分かったら、私はもう少し聞きます。

なぜ、今それを本にしようと思ったのか。

そして、

誰に一番読んでもらいたいのか。

その人に何を伝えたいのか。

読み終わったあと、その人にどうなってほしいのか。

こうやって話をしていくと、最初に考えていた本とは違うものが見えてくることがあります。

「○○について説明する本」だと思っていたものが、

実は、

自分が何十年もかけてたどり着いたものを、次の世代に渡す本だった。

そんなことがあります。

私は、ここが編集の始まりだと思っています。

 

原稿がなくても、本の相談はできます

「本を出したいのですが、まだ原稿がありません」

そう言われることがあります。

大丈夫です。

もちろん、すでに原稿が完成している方が出版までの時間は短くなります。

でも、本を作る方法は一つではありません。

原稿を書く。

ブログや過去の文章をまとめる。

講演資料を使う。

話を聞きながら構成を作る。

場合によっては、インタビューを重ねながら原稿にしていくこともできます。

だから、

「文章を書くのが得意ではないから、本は出せない」

とは限りません。

編集者の仕事は、完成した文章の誤字脱字を直すことだけではありません。

その人が持っている経験、思想、知識、問いを見つけ、それを読者に届く一冊にしていく。

私はそれも編集だと考えています。

 

紙の本、電子書籍、POD。どれがいいのか

今は、本の出版方法も増えました。

昔ながらの紙の本。

電子書籍。

注文された分だけ印刷するPOD(プリント・オン・デマンド)。

Amazonなどのサービスを利用して、自分で出版することもできます。

では、どれが一番いいのでしょうか。

私は、目的によると思っています。

紙だから偉いわけでもない。

電子書籍だから簡単な本というわけでもない。

電子書籍で先に出して反応を見てから、紙の本へ展開する方法だってあります。

最初から紙と電子書籍の両方を考えてもいい。

大切なのは、

「何のために出版するのか」

です。

誰に届けたいのか。

何年残したいのか。

どんな場面で使いたいのか。

そこから逆算して出版方法を選んだ方がいいと思います。

 

今は自分でも出版できます。では、出版社は必要なのか

これは、出版を考えている方なら一度は考えると思います。

今は、自分でも本を作れます。

電子書籍なら、出版社を通さず出版することもできます。

PODを使えば、大量の在庫を抱えずに紙の本を販売することもできます。

だから、

「本という形にするだけ」なら、出版社を通さなくてもできます。

では、出版社を通す意味は何でしょうか。

私は大きな意味の一つが、

第三者の目が入ること

だと思っています。

自分にとっては当たり前の経験でも、初めて読む人には分かりません。

逆に、自分では、

「こんな話は大したことないですよ」

と思っているところに、その本で一番重要なものが隠れていることがあります。

友人や家族に読んでもらうこともできます。

でも、あなたのことを知っている人は、どうしても「あなたを知っている人」として読みます。

編集者は違います。

この人を知らない読者が読んだら、どう感じるか。

そこを見ます。

これが、出版社や編集者が本づくりに入る大きな意味だと思っています。

 

自費出版は、出版社によってかなり違います

「本を出版したい」と検索すれば、たくさんの出版社や自費出版サービスが出てきます。

当然、万代宝書房以外にも選択肢はあります。

大手出版社には大手出版社の強みがあります。

知名度やブランド力があります。

大きな制作体制や販売網を持っているところもあります。

一方、小さな出版社には小さな出版社だからできることがあります。

そして、電子書籍やPODを使って自分で出版する方法もあります。

私は出版相談に来た方に、

「うちだけで決めなくてもいいですよ。他社にも聞いてみてください」

と言うことがあります。

ただし、比較するときに、出版費用だけで決めない方がいいと思います。

 

出版費用だけでは、本当の比較はできません

自費出版では、100万円を超える見積もりも珍しくありませんし、仕様や部数、サービス内容によっては200万円以上になることもあります。

一方、もっと低価格で出版できるサービスもあります。

では、安い方が得なのか。

これは単純には言えません。

何ページなのか。

何冊印刷するのか。

編集はどこまで入るのか。

校正は含まれるのか。

装丁はどうするのか。

書店流通はどうなるのか。

Amazonなどではどう販売するのか。

出版後のサポートはあるのか。

条件が違えば、金額だけを並べても比較できません。

だから私は、出版社を比較するときには、出版費用と一緒に中身を見てほしいと思っています。

そして、もう一つ聞いてほしいことがあります。

「契約したあと、誰が私の本に関わるのですか?」

 

「誰が編集するのか」は意外に重要です

出版社によって仕事の進め方は違います。

営業担当がいて、契約後は編集担当、制作担当へと引き継いでいく会社もあります。

これは分業ですから、それ自体が悪いことではありません。

それぞれの専門家が担当するという利点もあります。

万代宝書房は少し違います。

最初の出版相談で、

「なぜ、この本を出したいんですか?」

と聞いた私自身が、本づくりにも関わります。

私は万代宝書房の社長ですが、編集者でもあります。

そして、もともとはジャーナリストです。

だから、最初に聞いた話を営業担当から編集担当へ渡して終わり、という形には基本的にしていません。

最初の相談の中で、

「あ、この話がこの人の本の核かもしれない」

と思うことがあります。

その感覚を持った人間が、そのまま本の中身を見る。

これは万代宝書房の特徴の一つだと思っています。

 

万代宝書房は「契約したらスタート」です

出版の営業では、契約が一つの大きな目標になるでしょう。

でも、私たちは違います。

契約したらスタートです。

そこから原稿を読みます。

話をします。

構成を変えることもあります。

削ることもあります。

「ここをもっと書いてください」

と言うこともあります。

著者からすれば、

「そこじゃなくて、こっちを書きたいんだけどな」

と思うこともあるかもしれません。

でも、私には著者とは別に、もう一人見ている人がいます。

 

私が見ているのは「読者」です

出版費用を負担するのは著者です。

ですから、著者はもちろん大切なお客様です。

でも、本を作るときに私が見ているのは、著者だけではありません。

その本を実際に手に取る読者です。

著者が書きたいことを、そのまま全部本にすればいいとは考えていません。

「読者はここで分からなくなる」

「この説明はいらない」

「それより、さっき話していた経験を書いた方がいい」

編集では、そんなことを言います。

私は出版社の社長であると同時に、ジャーナリストでもあります。

人の話を聞き、

「何が重要なのか」

「読者は何を知りたいのか」

を考えることを長くやってきました。

その経験を、本づくりにも使っています。

著者が残したいものと、読者が読みたいもの。

その二つが重なるところを探す。

そこが編集者の仕事だと思っています。

 

万代宝書房にも、弱いところがあります

いいことだけを書くのも違うので、弱いところも書いておきます。

万代宝書房は、大手出版社のような巨大な販売力を持った出版社ではありません。

私が全国の書店を一軒一軒回って営業しているわけでもありません。

ですから、

「私は書くだけ。あとは出版社が全部売ってください」

という方とは、あまり相性がよくないと思います。

一方で、書店を全国回らなくても、長期間ランキング上位に入った本があります。

Amazonでカテゴリー1位になった本も複数あります。

私は、今は昔ながらの書店営業だけが本を届ける方法ではないと思っています。

誰に届けるのかを考える。

本の中身を作る。

Amazon、SNS、講演、イベントなど、その本に合った届け方を考える。

そして、著者自身も動く。

そこまで含めて出版だと思っています。

 

本は、出版したあとから働き始めます

本を出版したことをきっかけに、テレビ出演につながった著者もいます。

行政から講演依頼が来た著者もいます。

中堅・大手出版社から商業出版の話が来た著者もいます。

もちろん、

「万代宝書房から出せば、そうなる」

という話ではありません。

そんな保証はできません。

でも、本にはそういう可能性があります。

私は「名刺本」という言い方をすることがあります。

自分の仕事や考え方を30分説明する代わりに、

「詳しくは、この本に書いてあります」

と一冊渡せる。

本人がその場にいなくても、本が自分の代わりに語ってくれます。

本を売って印税を得ることだけが、出版の価値ではないと思っています。

 

私たちが作りたいのは「人類の宝になる本」です

万代宝書房には、

「人類の宝になる本を残す」

という考えがあります。

100万部売れる本だけが、人類の宝ではありません。

たった一人でも、

「この本に出会えてよかった」

と思ってくれる人がいる。

あるいは何十年後に誰かが読んで、

「こんな経験をした人がいたんだ」

「こんなことを考えていた人がいたんだ」

と知る。

それも、本を残す意味だと思っています。

だから、自慢話を一冊にしたいだけなら、万代宝書房でなくてもいいと思っています。

単純に本を使って売上を上げたいだけなら、もっと適した方法があるかもしれません。

でも、

「これは残しておきたい」

と思うものがあるなら、私は話を聞きたい。

仕事で何十年も積み重ねてきたもの。

失敗して初めて分かったこと。

誰にも理解されなかった経験。

子どもや孫に伝えておきたいこと。

次の世代に渡したい技術や思想。

ずっと追い続けてきた問い。

そういうものは、本になる可能性があります。

 

出版社を選ぶとき、最後に一つ聞いてみてください

もしこれから何社かの出版社に相談するなら、費用を聞いてください。

出版方法も聞いてください。

何冊作るのかも確認してください。

流通についても聞いてください。

そして、もう一つ。

担当する編集者に、こう聞いてみてください。

「あなたは、私の何を本にしようと思いますか?」

その答えを聞けば、

その人があなたを「出版契約をするお客さん」として見ているのか、

それとも、

あなたの中から一冊の本を見つけようとしているのか。

少し分かるのではないでしょうか。

万代宝書房を選んでください、とは言いません。

2社でも3社でも話を聞いて、自分が一緒に本を作りたいと思う出版社を選べばいい。

半年、一年と一緒に本を作る相手です。

金額だけではなく、

「この人となら、自分の一冊を作れる」

と思える相手を選んでください。

そして、もしその相手として万代宝書房が気になったら、一度話を聞かせてください。

原稿が完成していなくても構いません。

タイトルが決まっていなくても構いません。

まだ、

「本当に自分の話が本になるのかな」

という段階でも構いません。

何を本にするのか。

なぜ残すのか。

誰に届けるのか。

そこから一緒に考えます。

あなたの中にある一冊を、一緒に探すところから始めましょう。

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