「事件」ではなく、「裁判」を見てほしかった 『和歌山カレー事件 再審請求書面を解析してみると…』
「事件」ではなく、「裁判」を見てほしかった
『和歌山カレー事件 再審請求書面を解析してみると…』
出版社を始める前から、私は冤罪事件に関心を持ってきました。
新聞やテレビで報じられた内容を、そのまま受け入れるのではなく、「本当にそうなのだろうか」と考えるようにあっていました。
そんな私に、ある日一本の電話が入りました。
「釣部君、和歌山カレー事件の再審請求を手伝ってもらえないかな?」
その一言から、この事件との深い関わりが始まりました。
私は以前から、和歌山カレー事件には違和感を持っていました。
死因が食中毒から青酸、そしてヒ素へと変わっていったこと。
なぜ資料が廃棄されたのか。
なぜ目撃証言が変わるのか。
情況証拠だけで死刑判決が維持されていること。
報道を見ながら、数多くの疑問を抱いていたのです。
その後、生田暉雄弁護士と出会い、再審請求書面や膨大な裁判資料を読み込み、国会図書館で新聞記事を集め、関係書籍を調べ続けました。
すると、私が想像していた事件とは、まったく違う姿が見えてきました。
一般に「和歌山カレー事件」と呼ばれているものは、一つの事件ではありません。
実際には、多数の関連事件を含む構造であり、「毒カレー事件」はその一部にすぎなかったのです。
報道されていたこと、実際の裁判とは大きな開きがあったのです。
だから私は、この本を「犯人は誰か」を論じるために書いたのではありません。
読者に見ていただきたかったのは、
裁判では、どのように事実が認定されていくのか。
その過程です。
我々一般の人は、裁判書面の読むのは難しいです。
専門用語、独特の言い回し、構成要件を意識した構成など。
そこで、この本では、再審請求書面をできるだけ理解しやすくするため、チャートや図を数多く使いました。
法律の専門家だけではなく、一般の方にも「何が争点なのか」が見えるよう工夫しています。
事件の結論だけを知ることは簡単です。
しかし、その結論に至るまでに、どのような証拠が使われ、どのような証拠が使われなかったのか。
そこに目を向けることは、決して簡単ではありません。
だからこそ、本書では「死因」「捜査」「証拠」「裁判」という四つの視点から、再審請求の内容を整理しました。目次を見ていただくだけでも、本書が事件全体を構造的に読み解こうとしていることがお分かりいただけると思います。
私は、この本を通して「林眞須美氏を信じてください」とお願いしたいわけではありません。
むしろ、お伝えしたいのはその逆です。
先入観を持たず、自分自身で資料を読み、自分自身で考えてほしい。
それが、この本を書いた一番の理由です。
裁判は、私たち一人ひとりの人生とは無関係ではありません。
もし証拠の見方や事実認定のあり方に問題があるなら、それは一つの事件だけの問題ではなく、日本の司法そのものに関わる問題だからです。
この本は、「和歌山カレー事件」の本である前に、
「事実とは何か」「裁判とは何か」を考えるための本
として、多くの方に読んでいただけたらと思っています。

和歌山カレー解説本 【チャートで解説】和歌山カレー事件 再審請求書面を解析してみると…
商品紹介
冤罪はこのように晴らす~「捜査法」の無い日本で起きた 「和歌山カレー事件」の冤罪の晴らし方
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冤罪・ 死刑を弄ぶ国 ~死因の証拠がない死刑判決「和歌山カレー事件」
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