【人生の編集力】すべての出会いが宝になるわけではありません。それでも私たちが「目の前のこと」に全力を注ぐべき理由
【人生の編集力】すべての出会いが宝になるわけではありません。それでも私たちが「目の前のこと」に全力を注ぐべき理由
「出会いは人生の宝である」
よく耳にする美しい言葉です。しかし、あえてお伝えしたいことがあります。
すべての出会いが、最初から輝く「宝」であるわけではありません。
振り返れば、深く傷ついた人との出会いもありました。
思い出したくもない失敗に終わったプロジェクトもありましたし、当時は「時間の無駄だ」と感じてしまうような作業も数多くありました。
しかし不思議なことに、後になって人生の点と点がつながったとき、あのときの「無駄」や「失敗」があったからこそ、今の自分があると気づかされる瞬間があります。
人との出会い、本との出会い、役職との出会い。
出版社という、日々「言葉」や「本」と向き合い続ける仕事をしていると、この「出会い」の本質が少しずつ見えてきます。
例えば、本との出会いです。
出版の世界には、「一過性で売れる本」と「時代を超えて残る本」があります。
私たち出版に携わる者は、著者の魂の欠片ともいえる原稿と出会い、それを編集し、世に送り出します。
読者にとっての本との出会いも同じです。
ただ文字を追うだけではなく、自分の人生と照らし合わせて意味を抽出する。
この“編集作業”があって初めて、その本は人生に影響を与える存在になります。
このことは、役職や仕事との出会いにおいても同じです。
かつて、まったく希望していなかった地味な裏方の仕事を任されたことがありました。
正直に言えば、「なぜ自分がこの仕事をやるのだろう」と何度も思いましたし、辞めようかと考えたこともありました。
目立つ成果は出にくく、評価もされにくい。ただ、数字と向き合い、理不尽とも思える調整に追われる日々でした。
しかし、そのときに逃げずに向き合った経験が、数年後、大きなプロジェクトを任されたときにすべてつながりました。
現場の構造が理解できること、数字の裏側が読めること、人の動きが見えること――それらすべてが大きな力になったのです。
当時は「外れの役職」だと思っていたものが、振り返れば「最も価値のある経験」になっていました。
だからこそ、成功の秘訣はとてもシンプルです。
目の前のことに一所懸命に向き合い、安易に選り好みをしないことです。
ただし、この「選り好みをしない」という言葉は、誤解されやすい部分でもあります。
何でもかんでも引き受けるという意味ではありませんし、自分を不当に扱う環境に身を置き続ける必要もありません。
むしろ大切なのは、目の前の出来事や仕事に対して、自分なりの意味を見出す姿勢を手放さないことです。
意味を見出す前に「つまらない」「自分には関係ない」と切り捨ててしまうと、どんな環境に移っても同じことを繰り返してしまいます。
問題は環境だけではなく、意味づけの力にもあるからです。
私たちが出会うすべての出来事や人、仕事は、いわば「原石」のようなものです。
それをどう切り取り、どう意味づけし、どう自分の人生の中に組み込むか。
それが、人生を「編集する」ということではないでしょうか。
目の前のことに一所懸命に取り組むというのは、その原石の可能性を引き出す行為です。
意味づけをせずに切り捨ててしまえば、それはただの石のまま終わってしまいます。
人生の宝は、最初から完成された形で現れるわけではありません。
一見すると価値が分からないような出会いであっても、それに向き合い、磨き続けることで、初めて意味を持ち始めます。
今日、あなたの目の前にある仕事、出会った人、そして出会った言葉。
それらに、どのような意味を与えますか。
その積み重ねが、やがてあなた自身の人生を形づくっていくのだと思います。
この「人生を編集する」という考え方は、
私が日々向き合っている出版の現場から生まれたものです。
言葉や本を通じて、人の人生がどう変わるのか。
その現場にいるからこそ見えてきたものがあります。
もし、この考え方に少しでも共感いただけたなら、
ぜひ一度、私たちが世に送り出している本にも触れてみてください。
人の物語から生まれた本は、ほかにもあります。
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