◆老化は病気ではない、生理現象である。

◆老化は病気ではない、生理現象である。

 父の命日が近づいてきている。
 父は、89歳で肝臓がんであったが、最期まで、自分自身でいた。
 最期の数年、「老いては子に従え」という私たちの誘いに乗って、同居し、自宅で看取ることができた。
 父の死に様は、健康、老人、生き方などなど老後の生き方をいろいろと教えてくれた。
 現代医学の、老人医療の現場において、医療者の混乱と苦悩があると思う。それは、QOL(生活の質)を高める、とか「Cure(治癒)よりCare(ケア)」などのスローガンが叫ばれたことで、顕著になった。
 

 言い換えれば、老人医療のおける「医療」と「福祉」の線引きである。

 
 妊娠・出産と比較するとわかりやすい。
 
 妊娠・出産は、基本的には生理現象と捉えられ、医療の対象にはならず、福祉の範疇であるが、何か異常があった場合、異常が予測される場合は、医療の範疇になる。その境が比較的わかりやすい。
 
 こう見たときに、老化なのか、それとも病気なのか、または、老化に伴うものは病気なのか病気ではないのか、という問いになる。
 
 例えば、女性の更年期障害。
これは、生理現象なのか、病気なのかという問いである。閉経するのは、生理現象であり、ある意味、老化現象である。
 
 このように考えると、老化現象=生理現象は現代医学の治療では治らない。しかし、症状は抑えるころは可能かもしれない。
 
 現実は、老人が病院を長期間「占領」する面もある。
 
これに対処する方法として、多くの福祉情報や福祉援助が生み出されている。このことは、老人一人一人にとっても、政策としても有用である。老人医療は、福祉が主体である、と考える医療者も多い。
 

 老化は病気ではない、生理現象である。

 
 これを基本に据える中で、治療か必要か否かを検討することが急務である。
 
 老化の何もかもを医療に押し付けるのは本末転倒である。
 
 生理現象であるのだから、福祉の範疇でケアするのが基本で、その中で特にというものを医療が引き受けるが望ましい姿であろう。
 理屈はそうだが、日本の福祉は、老化を福祉の範疇として受け入れるだけの準備がようやく始まったばかりではないのか。

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