『つりひろの入院妄想記~一病息災~「一」の章』◆リスクがいっぱい、手術が失敗する確率は?
◆リスクがいっぱい、手術が失敗する確率は?
先に、手術のリスクについて触れたが、正確な数値(だいたい確率で示される)を知らされたとしても問題は残る。医師にとって手術は何度も経験するものであり、これからも繰り返し行うものだが、患者にとっては、一生に一度の経験かもしれない。そのため、詳細なリスクよりも、自分の手術が成功する確率が何より気になるのだ。
なぜだろうか? ベッドで時間を持て余し、不安と向き合いながら考えた。最大の問題は何なのか? 仮にリスクの詳細をすべて理解できたとして、私たちは本当に安心できるのだろうか?
例えば、「この水道水を一年間飲むと、一万人に一人が健康被害を受ける」と言われたら、安心して飲むだろうか? それとも飲まないようにするだろうか? あるいは一年間に一日だけ飲まない日を作るだろうか?
おそらく、リスクを数値で明示されても不安は完全には消えないだろう。何百万枚に一枚しか当たらない宝くじを買っているのだから、「被害は百万人に一人です」と言われても、その一人が自分になるかもしれないと思ってしまうのではないだろうか? 百万人に一人でも、一千万人に一人でも、安心できるわけがないのだ。
私たちの生活には、リスクが溢れている。飛行機に乗るときも、車に乗るときも、歩道を歩いているときも、寝ているときもリスクはある。何を食べても農薬や食中毒のリスクがあるし、レストランに入れば思わぬ高額請求のリスクもある。私たちはそれを承知の上で、タバコやトランス脂肪酸、アルコールなどを摂取している(私の場合、摂取しているのはアルコールのみだ)。進学や就職、さらには結婚といった重要な選択ですら、リスクを考えずに決めてしまうことがある。
私自身、リスクを考えずに公務員を辞めて民間企業に転職し、食べていけるか分からないままジャーナリスト・作家の道に入った。相手を深く知らずに結婚し(その結果×がついた)、電車に遅れそうになると点滅している横断歩道に突っ込み、何が入っているか分からない安いチェーン店の料理を食べ、地震で倒れてくるかもしれない本棚の隣で寝ている。
それほどリスクに囲まれていながら、日常生活で不安を覚えないのはなぜだろうか?
それはリスクをはっきりと認識しているからではなく、リスクを無視しているからだ。リスクに怯えながら生きるより、無視する方が楽なのだ。一般生活では、リスクを取り除くよりも、無視する方がはるかに簡単だ。
しかし、入院して心臓の手術を控える状況では、無視できないリスクに直面することになる。
結局、リスクに直面した私は、百万分の一の確率でも「自分がその一人になるかもしれない」と思う。何と都合のいい考え方だろうか。
それなら、二分の一や四分の一のリスクではないのだから、千分の一のリスクくらい無視できるように思考回路を切り替えたほうが、私にとっては何かと都合が良い。
その結果出たのが、「この病院では年間何例手術を行い、何例失敗がありましたか?」という質問だった。そして、「この病院では事故は一件もありません」という回答を得たことで、リスクの確率を「この病院の成功確率」に置き換えることができた。
こうすることで、「自分が初めての失敗事例になるかも」と考えるのではなく、「100%成功の中に自分が含まれる」と思えるようになったのだ。その後、不安がよぎるたびに、「この病院では事故は一件もありません」と自分に言い聞かせることで、リスクを無視できるようになった。
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