『つりひろの入院妄想記~一病息災~「一」の章』◆不整脈で手術を受けるとなると、どういう精神状態になるか?
◆不整脈で手術を受けるとなると、どういう精神状態になるか?
心房細動・不整脈で手術を受ける場合、どのような精神状態になるのか。経験者の立場から、アドバイスを含めて説明しておきたい。
まず、「なぜこうなったのだろうか?」と考える。医者からは、「ストレスが原因で心臓に負担がかかり、血栓ができやすい状態になっています。心臓の血管で詰まれば心筋梗塞、脳の血管で詰まれば脳梗塞になり、命に関わります」と説明された(私には、やや脅しのように感じられた。なぜなら、自覚症状がなく、心電図モニターの波形が乱れているだけで、安静にしている限り特に問題は感じられなかったからだ)。
さらに、「ストレスの原因に思い当たることはありますか?」と聞かれる。仕事をしたり生きていれば、ストレスのないことなどあるわけがないと思いながら、「あります」と答えると、「それを解消するようにしてください。私たちは症状を抑えることはできますが…」と言われた。「結局、治せないんですね」と突っ込むと、「そうです」と返ってきた。納得できない私は、少しムキになり(それがバレないよう最大限努力したつもりで)、再び質問した。
「ストレスが原因とのことですが、胃に来る人や腸に来る人もいますよね。なぜ私は心臓に来たのでしょうか?」
「ご両親や親族に心臓が悪い方がいましたか?」
仮に「いた」と答えたら「遺伝です」と言うのだろうか。父親は肝臓がんだったため、「いない」と答えると、「分かりません」と即答された。結局、理由は不明だった。
手術前に医師から手術の説明を受けるが、一人で行かないほうがいい。心配症や不安症ではない家族や友人に同席してもらうことをおすすめする。説明を聞いていると、生きて帰れないような気がしてくるからだ。どんな手術にもリスクはある。そのため、単に「勧められたから」「医師がハンサムだから」「看護師さんがきれいだから」などといった理由で手術を決めるのは避けるべきだ。
私の場合は心臓カテーテルアブレーション治療手術で、所要時間は4時間前後と説明された。麻酔や手術内容についても心臓の図を使いながら説明を受けた。一応聞いていたが、真剣には聞かなかった。理解が浅いまま治療を拒否することもないし、中途半端な知識を持つほうが危険だと思っていたからだ。詐欺や株で失敗する人は中途半端な知識を持つ人だ。全く知識がなければそもそも手を出さないし、きちんとした知識を持つ人の失敗率も低い。
ただ、リスクについてだけは超真剣に聞いた。
医師は「確率は1000分の1なので安全な手術です」と説明したが、私は率直に尋ねた。
「先生、手術は任せるしかありません。ただ、患者としては1000分の1でも1万分の1でも、自分がその1になる確率を知りたいのです」
「そのお気持ちは分かります。でも、医師としてリスクの説明は必須であり、絶対安全とは言えないのです」と返された。
「では質問を変えます。この病院では年間何件の手術を行い、失敗は何件ですか? 先生ご自身の手術では?」
咄嗟に出た質問だった(なかなか良い質問だったと思う)。
「この病院でこの手術を導入してから数百件の実績がありますが、事故は1件もありません」と即答された。医師として回答できる質問を選ぶのが重要だと感じた。
手術前夜、「万一に備えて遺書を書こうか」と思ったが、現実になったら嫌だと思い、やめた。
当日、絶食して手術に備えた。手術の1時間前、手術着に着替えさせられ、精神安定剤のセルシンを飲まされた。以前、友人の知人がセルシンを多量投与されて亡くなったことがあったため、一瞬「えっ!」と思ったが、この流れで断る勇気はなかった。薬を飲むと、ぼーっとして思考が鈍る感覚があった。付き添ってくれた妻が「目つきがぼーっとしてきた」と言ったので、本当にそうだったのだろう。
車椅子に乗せられ(薬の影響で歩行が危険なため)、無理に元気そうに手を振って手術室へ向かった。内心は正直、不安だった。
手術室にはICUでお世話になった看護師さんがいて、「釣部さん、担当します。覚えてますか?」と笑顔で声をかけてくれた。もちろん覚えている(もし独身なら、付き合いを申し込むくらいだった)。知っている人がいるだけで安心した。
「麻酔をします」と言われ、鼻にゼリー状のものを入れられ吸ったところで記憶がなくなった。次に目覚めたとき、肩を叩かれ、「無事成功しましたよ」と告げられた。4時間半が経過していた。
その後、心電図の波形はきれいになり、心拍数も正常値に戻った。その日は食欲がなかったが、翌日からは普通に食べられるようになった。
医師から「リハビリを頑張れば心臓が前より強くなりますよ」と言われ、「心臓に毛が生えるのか?」と冗談を言えるほど回復していた。
手術によって劇的な変化があった。正確には若い頃に戻っただけだが、体重は15キロ減り、LLサイズの服がLサイズになった。しかし、困ったこともあった。スーツや洋服がすべて大きくなり、まるで子どもが父親の服を着ているような感じになったのだ。
「自分の手術は大丈夫なのか」と心配している方々にはこう伝えたい。服が大きくなることを許せるなら、この手術において医師を信じても良いのではないだろうか。
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