メディア情報の“切り取り”が生む誤解──選挙とネット時代の新たな戦い方
メディア情報の“切り取り”が生む誤解──選挙とネット時代の新たな戦い方
「それ、本当に“問題発言”だったのか?」
参議院選挙のさなか、私は自身のYouTube番組『百年の本棚』で、報道のあり方について疑問を呈しました。
きっかけは、知人の立候補者に関するネットニュースでした。
記事の中では「問題発言」として一部のコメントが切り取られ、センセーショナルに報じられていたのですが、実際に前後の発言を動画で確認すると、極めてまっとうな主張であり、事実に基づいた内容であることが明らかだったのです。
それでも、メディアが〔1分間の切り抜き〕だけで構成した記事が拡散されていく──これは果たして、公平な報道と呼べるのでしょうか?
選挙は〔情報戦〕の時代に突入した
従来の選挙では、街頭演説やポスターが主戦場でした。しかし今は違います。
〔選挙はネットと動画とSNSを駆使した情報戦〕に移行しています。
候補者たちは、誤解や切り取りを防ぐために発言の前後を含めた動画を自ら公開し、キャプションを付けて説明する時代になりました。
一方で、意図的・無意図的に「文脈を歪めて伝える」ような報道が未だ存在していることも事実です。
それを受けて、政党・候補者は自らメディアになり、誤解を打ち消す努力を強いられているのです。
「本」の立ち位置はどう変わるのか?
このような情報環境の変化の中で、私が出版に携わる者として強く感じるのは、書籍というメディアの意義の再評価です。
ネット情報は速報性がありますが、どうしても断片的で、文脈が軽視されがちです。
その点、書籍は「全体像を伝える」ことに長けており、一つのテーマについて、深く、丁寧に、文脈ごと伝えることができます。
この「時間をかけて読み解く」メディアである書籍は、短期的なイメージ戦略ではなく、中長期的な信用構築のツールとして、再び注目されるべきだと私は考えます。
情報に「目利き力」を──読者の側も試されている
だからこそ、私たち一人ひとりが求められているのは、「見る力」と「疑う力」です。
たとえ大手メディアが発信していても、「これは本当に正確な情報なのか?」という視点を持つこと。
そして、可能ならば反対意見にも触れ、多面的な視点から物事を見る姿勢が、これからますます重要になっていきます。
これは政治に限らず、医療、経済、教育…あらゆる分野において必要な態度です。
本当に必要な情報力とは?
・情報は切り取りだけでは判断できない。文脈を読み解く力が求められている。
・選挙は「ネット上の印象戦」。その中で本が果たす役割は深い。
・発信者だけでなく、受け手である私たちもリテラシーが問われている時代。
このブログを読んで、何かを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考える一助となれば幸いです。
信じるな!疑うな!確かめろ!
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