「カギ、閉めたかな？」――強迫性障害と生きることのリアルに寄り添う一冊

〔笑い話にできない不安〕と日々を生きる人へ――この本を出版した理由

強迫性障害（OCD）という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。

けれど、実際にその「日常」がどのようなものかを、私たちは本当に理解しているでしょうか？

本書『あれっカギしめたっけ？――強迫性障害とともに生きる』は、ある男性の実体験をもとに書かれた一冊です。

著者は、長年強迫性障害に悩みながらも、生活の中で少しずつ症状と向き合い、自分らしさを取り戻してきました。

万代宝書房としてこの本を世に出したのは、「正しさ」や「理屈」で語られることの多い精神疾患の世界に、〔当事者の声〕という温度を届けたかったからです。

医学的な理論でも、専門家による分析でもない――

この本にあるのは、〔そのままの気持ち〕と〔やっと見つけた一歩〕です。

【H2】「症状」ではなく、「その人自身」に目を向けるために

「何度も鍵を確認してしまう」「手を洗う回数がやめられない」「不吉なことが頭から離れない」――

こうした行動や思考は、外から見ると奇妙に映るかもしれません。

しかし著者は、その背後にある〔心の声〕を丁寧に語ってくれます。

「安心したい」「責任を果たしたい」「大切な人を傷つけたくない」――

どれも、ごく自然な感情です。けれど、それが過剰になっていくとき、本人にとっては〔日常が戦場〕になってしまう。

この本では、発症から、治療や薬との関わり、周囲との葛藤、そして支援の手が差し伸べられたときの気持ちまで、リアルな語りで綴られています。

そして最後には、こうしてもらえたら助かる」「こう接してくれると嬉しい」という、周囲への率直なメッセージも含まれています。

この本を読んでほしい人――共に生きるすべての人へ

この本は、以下のような方々にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

・強迫性障害に悩む当事者の方

・ご家族や職場にその傾向のある方がいる方

・精神疾患や〔目に見えない苦しみ〕に関心を持つ医療・福祉関係者

そして、「誰かの痛みに無力でいたくない」と思うすべての人に

著者の経験は特殊なものに見えて、実は〔「不安にどう向き合うか」という普遍的な問い〕に満ちています。

そのため、この本を読み終えたとき、自分自身の日常の中にある〔小さなこだわり〕や〔人との関わり方〕を、きっと見直したくなるはずです。

【まとめ】

『あれっカギしめたっけ？――強迫性障害とともに生きる』は、

〔誰にも話せなかった心の声〕を言葉にした、勇気とやさしさの詰まった一冊です。

出版社として、そして一人の読者としても、この本が、誰かの孤独をやわらげ、誰かの理解を深めるきっかけになることを心から願っています。