「歯医者に行かなくてよくなるために、歯医者に行く」――逆説の意味を解き明かす

なぜ〔行かなくてよくなるために〕、行くのか？

「歯医者に行かなくてよくなるために、歯医者に行く」――

この一文に、思わず戸惑う方もいるかもしれません。

ですが、ここにこそ本書の核心があります。

つまり、〔歯医者に依存し続ける医療〕から、〔自分で自分の健康を守る医療〕へと発想を転換するのです。

歯が痛くなったら行く、虫歯になったら行く――

それは「歯医者が治してくれる」という依存の構造です。

そうではなく、自分の生活習慣を見直し、食事や呼吸、姿勢を整えることで病気を未然に防ぐ。

そのための知識と習慣を得る場所として歯科を訪れる。

このような転換こそ、髙橋浩司先生が提唱する〔根本療法〕の実践なのです。

対症療法からの脱却――常識が覆される歯科医療

現代の歯科医療の多くは、症状への対応が中心です。

痛みが出れば神経を取る、膿がたまれば切開する、歯が抜けたらインプラント――

これらは「その瞬間」を解決する方法であり、なぜそうなったかという原因には踏み込まれません。

本書は、こうした流れに真っ向から異議を唱えます。

「口の中を治療しても、体全体が乱れていれば、また問題は起きる」

この考え方に立ち返ると、“歯だけを見ない歯医者”こそが、本当に人を治す存在だという視点が見えてきます。

そしてそれは、歯科だけでなく、現代医療全体に向けたメッセージでもあります。

出版社として伝えたい、〔医療の逆説〕の読み解き方

私たち万代宝書房がこの本に出会ったとき、まず驚いたのは「歯医者に行かないために、行く」という逆説を軽やかに、かつ深く説明している点でした。

多くの医療書は「理論的な正しさ」に力点を置きすぎるあまり、一般の読者には届きづらくなりがちです。

しかし髙橋先生の語り口は、専門的でありながらも、実に平易で親しみがあります。

この〔逆説〕を言葉にできる歯科医は、極めて稀です。

そしてその言葉は、いま「医療との距離感」に悩むすべての人にとって、大きなヒントとなるでしょう。

【まとめ】

「歯医者に行かなくてよくなるために、行く」――

それは、依存型医療から自立型医療への大転換です。

本書はその実現のための〔実践書〕であり、著者自身が臨床の現場で培ってきた知恵の結晶でもあります。