AIに任せれば出版できるは幻想だった――編集者の現場から見たリアル

AIに任せれば出版できるは幻想だった――編集者の現場から見たリアル

AI出版が「簡単」に見える理由

最近、SNSや広告などで「AIに任せれば誰でも本が出せる」といった言葉を目にする機会が増えました。

AIが進化した今、文章作成がこれまでよりも圧倒的にスピードアップし、まるで魔法のような道具のように語られています。

 

実際、ChatGPTなどに「◯◯について本を書いて」と頼めば、数分で1万字程度の下書きができてしまう。

このスピード感や手軽さに、「本当に出版って簡単になったのかも」と思ってしまうのも無理はありません。

 

しかし、「出版物としてのクオリティ」に目を向けると、話はまったく別です。

 

実際にやってみたら、壁だらけだった

私は、編集者として、そして著者として、実際にAIを使った原稿制作を試みました。

確かに、下書きはすぐにできる。でもそこからが本当の勝負です。

 

・構成が不自然

・言い回しがどこか“浮いている”

・同じ表現の繰り返し

・主張がぼやけていて、読み手の心に届かない

といった課題が次々に出てきました。

文章としては成立しているのに、“伝わる原稿”にはなっていない。

 

しかも、リサーチ不足による事実誤認や文脈のズレも目立ちました。

つまり「手間は減ったけれど、手直しの労力は減っていない」どころか、むしろ増えた部分もあるのです。

 

AI出版に本当に必要なものは?

私が痛感したのは、AIは素材は作れるが、作品には仕上げてくれないということです。

 

必要なのは、以下のような人間の手による工程です。

 

・文章の軸を定める構成力

・自分の視点や体験を織り込む表現力

・読者との距離を縮める語り口

・知識と情報の裏付けによる信頼性

・「この本で何を届けたいか?」という明確な意志

 

AIが提供するのは、あくまで「きれいに整った下書き」。

そこに著者としての思考・感情・経験が注入されなければ、ただの機械生成文にすぎません。

 

読者は作り手の覚悟を見抜いている

一見、それっぽく仕上がった文章でも、読者には伝わります。

「これは、誰が書いたの?」「何が言いたかったの?」と、読後に空白が残るような文章は、共感も信頼も生みません。

 

出版というのは、「本」という形で世の中に問いかけをする行為です。

その問いには、著者自身の覚悟や思想が滲んでいなければ、読み手の心を打つことはできません。

そして、それを仕上げる最後の砦が「編集」という存在です。

編集者が著者と共に「本当に伝わる本」を作るからこそ、出版は価値を持つのです。

 

まとめ

AIの力は素晴らしい。

しかし、それは著者の表現を助けるツールであって、著者そのものの代わりにはなりません。

 

出版は簡単になったのではなく、本質が問われる時代になったのだと私は思います。

だからこそ、私たち出版社は、AIと共により良い本をつくるための「共創編集」のスタンスを持ち続けたいと考えています。

AI出版は簡単ではない AI共創出版~AIと人間が「共に創る」新しい出版モデル

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商品紹介

AI出版は簡単ではない AI共創出版~AIと人間が「共に創る」新しい出版モデル   「AIに任せれば簡単に出版できる」時代の幻想を打ち破る  SNSやセミナーで飛び交う「AIに本を書かせれば誰でも著者になれる」といった甘い言葉。しかし、その裏には知られざる落とし穴と、果てしない手直しの現実が広がっている。本書は、AIと人間が真に“…

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