◆親父の手記はこの文章で締めくくられている。

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 ※自分の誕生日が過ぎて、父のことを改めて思う。

 いくら兵隊でも、首を吊って自殺するなどはできません。九時くらいに駆逐艦が入り、「駆逐艦が入った」と声があがり、信号弾が沖合いに上がりました。

 大発動艇のエンジンをかけ、沖の駆逐艦の方向へ進んでいきます。最後の一人は、舟艇は栓を抜き沈めました。駆逐艦の両側に大きな網をたらして、それにつたわって登りますが、途中で上がれなくなる人もいました。白い服の若い水兵が我々を引き上げてくれました。そして、全員無事乗艦。

 ブーゲンビル島の岬に朝六時に入港できました。入港後、入院する人もいたし、ブーゲンビル島についてから死んだ人もいました。

 

 この様子をアメリカのモリソンという歴史家が、「これほど見事な撤退作戦はない」と言ったそうですが、なぜこんなにうまく行ったのか。それが、日本陸軍が受けた「命令どおり動く」教育です。海軍は駆逐艦が沈められたくなかったにも関わらず、陸軍を助けてくれました。多くの人が国のためだと信じてジャングルの草葉で米も食べずに、若い命を散らしたのです。

 私は今、つくづくと考えるに、若い頃、国のために若い命を散らしたというのが、残念なことをしたと思います。皆さんにわかってほしいと思うのは、戦争とは残酷なことだということです。

 日本はガダルカナルの戦いで 二四隻、 アメリカは 一三万人以上の兵士をガダルカナルの海に沈めておりますが、アメリカはあまり応えませんでした。それは、補充力のある、強い国ですから。日本は、九〇〇機という飛行機を失い、二五〇〇名ほどの少年航空兵あがりの優秀な航空兵も海の藻屑となっています。

 最後のあがきとして、特攻攻撃というのがありますが、今でいう自爆というやつです。これは、さっぱり、何の成果も上がらなかったのです。世界に無敵と言われた大和魂も、アメリカの科学兵器の前には絶対に通用しないということを、私は皆さんに言いたいと思います。

 食べるものの無いジャングルの中で、命を散らしたのは、若い男性でした。戦争のために狩り出されたのでした。死んだものは語ることはできません。生きた我々が語らなければ・・・。

 戦争は、残酷、悲惨です。再び戦争の起きない時代にするために、皆さんにお話をしました。ここにいるかわいい、大事な子どもを死なせないために、皆さんに努力してほしいと思います。

 まだ時間がありますが、皆さんには、「平和・平和」と叫んで終わりたいと思います。

「父二郎の生きた道」ガダルカナルの戦友のもとへ

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つりべ みどり (著)   「俺が死んだら、遺骨をお婆ちゃんのお墓と戦友の眠るガ島に散骨してほしい」 2007年に89歳で他界した父 釣部二郎は、第二次世界大戦中にガダルカナル島の戦いを生き延びて奇跡的に帰還を果たしました。父 二郎の足跡をたどりながら、多くの戦友の思いも含めて父 二郎が伝えたかったもの・語りたかったこと…

ガダルカナル島帰還兵が語る!~平和への願い~

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釣部二郎、釣部人裕 著   私の父、釣部二郎が八九歳で他界したのは二〇〇七年晩秋のことだった。父は第二次大戦のガダルカナル島(以下、ガ島)から生還した。都合四次にわたる総攻撃をくぐりぬけてのことだった。二郎の「俺が死んだら、遺骨をお婆ちゃんのお墓と戦友の眠るガ島に散骨してほしい」であった。本書には、散骨、その後戦没…

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