【後編】芥川龍之介が伝えたかった“最後のメッセージ”

【後編】芥川龍之介が伝えたかった“最後のメッセージ”

 

『藪の中』は、なぜ結末を語らずに終わったのか?
この問いは、文学ファンだけでなく、現代に生きる私たちにとっても決して他人事ではありません。

芥川龍之介は、この物語の中で「真相が明かされないこと」そのものを通じて、重要なメッセージを残しました。
この後編では、芥川が伝えたかった“人間の本質”と“わからないまま生きる勇気”について、改めて考えてみたいと思います。

 

【考察1】芥川はなぜ『藪の中』を書いたのか?

人間の弱さと醜さを描きたかった

芥川龍之介は、人間の持つ弱さ、そして時に醜さとも言える「自己正当化」の心理を『藪の中』で鮮明に描き出しました。

誰もが自分の立場を守ろうとし、時に嘘をつき、都合の良い物語を語る。
これは『藪の中』の登場人物だけでなく、私たち現代人にも通じる普遍的な性質です。

芥川は、「人間は結局、自分に都合の良い真実しか語れない」という厳しい現実を、あえて美化することなく描いたのです。

 

『藪の中』は未解決事件ではない、むしろ“解決不能”な物語

私たちは、何事にも「答え」を求めたがります。
しかし、『藪の中』はその欲求に背を向け、「答えのない世界」に私たちを放り出します。

この物語は、“未解決事件”ではありません。
むしろ、芥川は「人間社会においては、そもそも完全な解決など存在しない」という真理を提示したのです。

 

【考察2】“告白”が持つ二重の罪と救い

「本当のこと」を語ることの難しさ

『藪の中』に登場する7人は、皆「自分の真実」を語ります。
しかし、それぞれの証言は矛盾し、食い違い、誰の話も完全には信じられません。

ここで芥川が示したのは、「告白」とは必ずしも真実を明かす行為ではなく、しばしば自己防衛や自己満足の手段にもなりうるということです。

このテーマは現代にも通じます。
SNSでの自己開示や「私は正しい」という主張は、果たして本当に純粋な告白なのでしょうか?
それとも、自分を守るための“物語づくり”に過ぎないのでしょうか?

 

嘘と真実のあいだにある「自己の物語」

人は、自分自身をどう語るかによって、アイデンティティを作り上げています。
この「自己物語」は、時に嘘を含みながらも、その人の生きる上での支えとなることもあります。

芥川は、『藪の中』を通して、「嘘」と「真実」を単純に分けることの不可能性を描き出しました。
そして、“わからないまま”であることを受け入れ、その中で自分なりの答えを見つけることこそが、成熟した人間の姿ではないかと問いかけているのです。

 

【考察3】今、『藪の中』を読む意味──あなたはこの謎をどう解くか?

現代は情報過多の時代です。
ネットニュース、SNS、YouTube…。誰もが自由に「真実」を語り、誰もが簡単に嘘を広められる社会。

私たちは、常に『藪の中』にいるのと同じ状態にあります。

「この情報は本当に正しいのか?」
「自分は誰の証言を信じているのか?」

そう自問しながら、絶えず「考え続ける姿勢」こそが、混乱の時代を生き抜くためのヒントになるのではないでしょうか。

🗝️ 最後に、あなたに問いかけます。

『藪の中』の事件の真相は、どこにあるのでしょうか?
それとも、「真相」という考えそのものが、人間の幻想なのかもしれません。

 

結局、真実は「あなたの中」にしか存在しない。

芥川龍之介は、『藪の中』という短い物語の中に、人間社会の複雑さと矛盾を凝縮しました。
この物語をどう解釈するかは、読者である「あなた自身」の物語です。

もしこの問いについて誰かと語り合いたくなったなら──。
ぜひこの記事をシェアし、あなたの考える「真実」を教えてください。

 

 

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村上康聡 著 B6版 128頁 芥川龍之介は、大正11年1月、雑誌「新潮」に短編小説『藪の中』を発表しました。 一般に、事件の真相がはっきりしないことを、この小説の題名や小説の中の犯行現場が藪の中であることからか、「真相は藪の中」などと言われています。 この小説の中の真相は何であったのか、犯人はいったい誰であるのか、そして、作…

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