「重版とは何か?“版”が変わる意味」
「重版とは何か?“版”が変わる意味」
〜“同じ本”なのに、内容が少し変わっているかもしれません〜
「増刷」が“同じ内容のまま刷りを増やす”ことであるのに対し、
「重版」は、“版”という設計図自体に何らかの変更が加えられるケースです。
多くの読者は「本の内容なんて一度出したら変わらないでしょ?」と思いがちですが、
実は出版の現場では「微修正」「軽いアップデート」が行われることがあり、
それが“重版”という形で反映されます。
◆ 重版とは?:内容に何らかの修正が加えられた「新しい版」
出版用語で言う「重版」とは、
誤字脱字の修正や一部文章の言い回しの変更など、小さな内容の修正を加えたうえで、再び印刷することを指します。
つまり、
■ 重版 = 内容が少しだけ変わった“同じ本”
というイメージです。
◆ たとえば、こんなときに「重版」が行われます
- 初版を出した後、誤植が見つかった
- 説明がわかりにくい箇所を言い回しだけ変えた
- 日付・統計情報を新しいものに入れ替えた
- 奥付の日付だけを変えた場合でも、社内基準で「重版」とすることも
内容そのものに大きな変更はないが、“中身に手を入れた”と判断されると重版扱いになります。
📌 増刷との違いはここ!
奥付でどう見分ける?
本の最後にある「奥付(おくづけ)」をチェックすると、
そこに「第2版 第1刷」「第3版 第1刷」といった表記があることがあります。
これが、“内容を調整して、版を新しくした”=重版の証です。
▼ 読者からはわかりづらいことも多い
実際には、
- 「第1版 第3刷」と「第2版 第1刷」の違いが分からない
- どこが変わったのかも書かれていない
ということがほとんどです。
でも、編集者や著者の立場から見ると、
「この部分、読者に誤解を与えたかも」「ここの表記はわかりづらかった」など、
“読者の読みやすさを考えた地味な改善”が重版でなされているのです。
◆ 著者・読者にとっての「重版」の意味
■ 著者にとって:
- 「手を加えた証」でもあり、「作品への責任の継続」
- 修正に応じて印税が発生する(※出版社との契約次第)
■ 読者にとって:
- 最新版は、より精度が高く読みやすい可能性がある
- ただし、誤字修正だけのことも多いため“内容の刷新”とは限らない
◆ まとめ:「重版」は、微細だけど意味のある“アップデート”
💡 重版とは、“売れたから再び刷る”だけではなく、
“届けた言葉を、より良く伝えるための改善”という一面を持ちます。
次回はさらに“内容自体を大幅に変更する”ケース、
そう、「改訂版」について詳しく見ていきます。
次回 → 「改訂とは?中身が“進化”するとき」
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