『つりひろの入院妄想記~一病息災~「一」の章』◆人間ドックは、樹海の入口
◆人間ドックは、樹海の入口
入院していると、とにかく検査が多い。気弱な私は、「なんでそこまでする必要があるのか」と尋ねる勇気も、断る勇気もない。小心者だと思う一方で、「入院している以上、医師に委ねてどーんと構えよう」と思う自分もいる(どちらが本当の私なのかは、読者の判断に委ねたい)。
そんな折、友人から「人間ドックに行くので2日間レスポンスが悪くなる」とメールがあった。彼は毎年検査を受けて健康チェックをしているという。そして、何か数値に異常が見つかると、どこか嬉しそうに再検査に行く。私はここ十数年、検査を受けたことがない。
入院している私が言うのも変だが、「ああ、彼も樹海の入口に自ら入ったか。入口で引き返して無事に帰って来られたらいいな」と思った。
樹海は魅力的だ。そして、多くの人が安全だと思い込み、自分から入っていく。入口までは安全だ。しかし、中に入ると、引き寄せられるように脇道へ進みたくなる。そして脇道に一歩でも入ると方向を見失い、元には戻れなくなる。迷い込んだら、出られない。それが、富士山麓の青木ヶ原樹海が自殺の名所と呼ばれる理由だ。
そこには、安全のためのガイドや自殺防止の看板もあり、ボランティアが巡回して奥に入るのを防いでいる。それでも、一度樹海にはまれば、「時すでに遅し」である。それでも不思議な魅力がそこにあるのだ。
人間ドックも似たようなものだ。定期的健康診断や人間ドックを受ける人は多い。「早期発見・早期治療」と称して、特に病気のない人までもが人間ドックに行く時代だ。そして、そこでは一箇所でも数値の異常が見つかれば再検査を勧められ、その結果、病名が付けられる仕組みになっている。本当に病気が発見されるなら良いが、数値的につくられる病気も少なくない。
検査の数値は、その日の体調、測定の時間、前日の食事やストレスの強さなどで簡単に変動する。「正常値」というのは統計上の概念で、90~95%の人が属する範囲に過ぎない。
「病気」が「正常でない状態」または「異常な状態」と定義されると仮定しよう。しかし、「正常」と「異常」の区別は非常に曖昧だ。検査結果における「正常値」や「異常値」という言葉を聞いたことがあるだろうが、その基準は学会ごとに異なることも問題となっている。ある学会では「正常値」とされるものが、別の学会では「異常値」とされる場合があるのだ。
さらに、「正常値」は「健康」とされる人々(統計上のサンプル)の中で、平均値を基準に標準偏差の2倍以内とされることが多い。その範囲には約95%の人が含まれるが、残りの5%は「異常値」であっても健康であるとされる。
以前取材した際、ある医師がこう教えてくれた(現在は引退している)。「検査で異常値が出ると病院は喜ぶ」と。その理由は、数値が正常値から少しでも外れていれば再検査や投薬が必要となり、患者を定期的に通院させることが可能になるからだという。中には、「正常値に戻っても薬をやめるとまた外れますよ」と言って患者を囲い込む病院もあるという。
真面目な人ほど通院を続け、指示通り薬を服用し、副作用に悩まされる。その副作用を治療するため、さらに薬を処方され、通院を重ねる――こうして病院が儲かる仕組みだ。
患者の中には薬をたくさん出す医者を「良い医者」と錯覚する人もいる。こうした例からも分かるように、本来健康であるにもかかわらず、新たな病気が「作られる」ことがある。その入口が人間ドックなのだ。
人間には自然治癒力がある。放っておけば治るものも多い。たとえば血圧が高いのにも理由があり、むやみに下げれば良いわけではない。高血圧の治療としてただちに減塩を進める必要はなく、化学調味料由来の塩をやめて天然塩や自然塩を使うことで改善される場合もある。
わざわざお金を払って病気を探しに行き、病気を作られ、再検査や投薬、手術を経て健康を害されるケースもある。人間ドックは、一度入ると抜け出せない樹海のようなものだと言えるのかもしれない。
では、どうすれば良いのだろうか?
答えは、なるべく病院の世話にならないよう普段から病気を予防することだ。自分の体には自分で責任を持ち、賢く健康管理を行うことが重要だ。正しい食事や適度な運動、ストレスを溜めない生活を心がけることが病気を避けるコツだろう。また、信頼できる医者や情報を提供してくれる医療機関を利用し、薬を使わずに健康食品や漢方薬、鍼、マッサージなどを併用する治療法を選ぶことも有効だ。
偉そうなことを言うが、ではお前自身はどうなんだ?と問われるだろう。実際、検査もせず民間療法の助言を受け、「大丈夫」と言われていたのだが…。
今の私に言えることは、「これからの私を見ていてくれ!」という小さな声だけだ。
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