『つりひろの入院妄想記~一病息災~「一」の章』◆なぜ、人はスポーツに夢中になるのか?
◆なぜ、人はスポーツに夢中になるのか?
私の場合、特に痛いところがなかったので、入院生活は不便だが暇だった。当初はICUに入り、24時間監視されていた(刑務所生活を思い出してしまったのはサガなのかもしれない)。しかし、テレビが無料で観られたのは救いだった。
入院して自分が自由に動けなくなったとき、ふと素朴な疑問が浮かんだ。次男が「欧州のサッカーの試合を観るために睡眠不足になる!」と言っていたのを思い出した。別にサッカーをやっているわけでもないのに、なぜそこまで夢中になるのかと。
なぜ人はこれほどまでに、スポーツに夢中になり、興奮し、熱狂するのだろうか?
毎朝のテレビ番組では、どの局も大リーグの大谷翔平選手が勝ったの負けたの、ホームランを打ったの打たないのと話題が尽きない。アメリカンフットボールでは、ルール違反がどうだ、指示があったのかどうかなどが取り上げられる。一年中、テレビはスポーツの話題で持ちきりだ。世界陸上、世界水泳、体操、ワールドカップ、マラソン…。正月には箱根駅伝が加わる。
8月になると、甲子園のサイレンの音が清々しく響き、高校野球が始まる。それが終わるか終わらないうちに、バスケットボール、サッカー、バレーボールと次々に大会が始まる。どのチャンネルを回しても、世界中のトップトーナメントが映っている日もある。
夕方になると、夕刊のスポーツ欄を眺めながらナイター中継。その合間に大相撲があったりする。そして深夜には、結果を知っているにもかかわらず、今日の試合のダイジェストや名場面を見て、今後の展開について解説を聞く。翌朝はまた新聞やネットのスポーツ欄をチェックするという具合だ。
それだけではない。野球、相撲、サッカー、ゴルフ…。どの競技にも何千何万という観客がスタジアムに詰めかける。どの会場も満員御礼。何とかドームでは数万人の観客が雨や雪にも負けず熱狂する。
ベッドの中でいろいろと考えた。これはスポーツ社会学の分野だ。ちなみに私は大学の体育専門学群出身なので、その講義を受けたことがある(記憶が正しければ、A評価だった)。とにかく時間はたっぷりある。
理由は無限にあり、それを5つに分けて得意げに解説するつもりはないが、多くの理由の根底には「健康な体」への願望があるのではないかと思った。要するに、「自分もああなりたい」という一言に尽きるのだろう。
だからこそ、イチロー選手、大谷翔平選手、羽生結弦選手のような有名選手は、技術や成績の高さを超えて「アイドル」として見られるのではないか。羽生選手がオリンピックで金メダルを獲得した際、凱旋パレードには10万人以上が集まり、感激して涙を流しながら手を振る人々の姿があった。
では、彼らは何の「アイドル」なのだろうか?
おそらく、健康な体の持ち主として憧れる「理想の存在」なのではないか。しかし、これほどまでに私たちが健康を求めていながら、同時に途方に暮れているのも事実だ。「自分には到底無理だ」と思う一方で、「どうしてもそうなりたい」と願う。その結果、自分自身を見るのを避け、好きなスポーツ選手に自分を重ねることで良い気分になる――そんなマジックを自分にかけているのではないだろうか。
スポーツが好きな人は、観戦するだけで元気になる。自分がプレーするわけではなくても、他人がスポーツをする姿を見ることで癒されるのだ。相撲など、取り組みの勝敗はわずか数秒で決まる。しかし、それを観るためにずっと前からチケットを買い、時間を空け、費用を捻出して観戦に行く。家にいればテレビでも観られるのに、それでは満足できないのだ。
「あの一瞬を自分の目で確かめたい」
そしてお気に入りの力士が勝とうものなら、家に帰るのがもったいなくなり、一杯飲みに行き、解説を交えながらその喜びを語り合う。負けた場合も同じで、「反省会」と称してまた一杯飲みに行く。いずれにせよ、飲みに行くのである。
誤解を恐れずに言えば、スポーツ観戦はストレス解消、いわば「うさ晴らし」としての側面もあるだろう。
では、スポーツが持つその凄さ、人をあれほど情熱的にさせる秘密は何なのだろうか?
私なりに考え、4つのポイントにまとめてみた。
- 人生の目的でも手段でもない、不思議な魅力を持っている。
- 選手、応援者、観戦者、裏方、ボランティア、関係者、その家族まで、なぜか笑顔になれる。
- 今抱えている仕事を忘れられ、自分や他者の流す汗が美しいと感じられる。
- 参加することで「これがやりたかったんだ」と何度も実感し、納得しながら行動できる。
簡潔に言えば、スポーツ観戦だけでも「体を動かす歓び、汗をかく歓び、仲間とともにやる歓び」を感じられるのではないだろうか。
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