つりひろの男の料理【7、いわしの変わり巻】
7、いわしの変わり巻
わざわざ、「つりひろの男の料理」と命名するのだから、実はそれなりの(深い)理由はある。シリーズになるかはどうかはわからないが、本書やこのシリーズをトータルで読んで行けば、その深い理由と私の思いが分かることになる。
それはさておき、世間のお店、お料理屋さん、レストラン、食堂とどう違うのだろうか? そこで、「良い店とはどんな店か?」を私なりに考察してみることにする。
その一は、何と言っても、安いということ。これは絶対である。お料理というのは、安ければ安いほどいいに決まっている。お料理の善し悪しは安さに尽きる。
人間であれば誰でもが自らのもつ命を繋ぐためにお料理を求めるから、安くなければそのことができない。高ければ、多くのお金を持たぬ我々にとっては多分死ぬしか方法がないので、安さこそが命である。
高いよりは安いに越したことはないなどという、実にふざけた、人間を人間とも思わぬような、そういう意味ではございません。
その二は、美しければ、それに越しことがない。胃袋に入れば同じだ!等と言って、ぐちゃぐちゃの料理は食べたくないし、おいしくならない。見た目の美しさも大事である。人はそもそも、「美しくなりたい、美しいままで輝く人生を全うしたい。そして美しいまま逝きたい」などと思っているのではないだろうか? 美しさが何かは、それだけで書くと長くなるので、また別の時に書くとしよう。
それが人間としての欲求であれば、私たちが、人類が自らに求める美しさの源、食べものにそれを求めるのは、当然なのではないだろうか? なぜなら、命の元が食べ物だから…。
安くて美しければ、日本では、もはや言うことなしの最高だとおっしゃる面々が、かなり相当にいる。しかし、考えてみてほしい。日本は、防腐剤と人口着色料の国である。このことは、世界的にも有名であり、お肉であれお魚であれ、手当たり次第であり、伝統的食材であっても、何かを振りかけたり、何かを入れて煮込んだりして調理する国である。試しにスーパーに行って、食材の裏に貼ってあるシールの成分を読んでみるとよい。例えるなら、薬漬けの料理か。業者ばかりがそうなのかといえば、安さと色の良さを求めて、消費者こそがそれを望んでいる面もある。
ということで、その三、新鮮さなのである。新鮮さというのは、朝採れなどの採ったばかりという意味と、薬剤で維持されているというのと、二通りである。
何であれ、新鮮でありたい。薬剤がそれをかなえてくれるのであれば、何も言うことはない。というのが、日本人なのであり、その心理を、誰かが悪用さえしなければ、最高なのだが…。
いかにして、鮮度を維持するか。日本の料理を学べば、学ぶほど、血がにじむまでの努力に努力を重ねている。お料理のもつ素晴らしさは、鮮度にこそありというのが、私たち日本人のもつ価値観である。しかし今日では、その伝統こそが、誰かの手によって、悪用されているとしか思えない。素材のもつ美しさ安さ新鮮さというのは、冷凍さえすれば良い、人工着色料や防腐剤をどぶ漬けにしてさえ買う人がいるのだから、それで良いではないか、と言われればそれまだが、しかし、それで良いのだろうか?
人は皆、新鮮でありたい。防腐剤抜きで、着色料抜きで、冷凍抜きで、自らの実力で新鮮でありたい。それを求めるが故に、自らの肉体を作る食べ物には、新鮮さを求めるのである。そのことが、エッセンスなのであり、やはり、悪用する人が存在するのだと、言わざるを得ない。
その四は、速いということ。実は、これは、それなりにウェイトが高い。なぜなら、結局のところ、美しさも新鮮さも、速さに含まれるのである。逆に言えば、美しくて新鮮でなければ、速さなど、結果として無関係になる。たとえば、四川料理など、お客様の目の前で、あっという間に一氣に、まるで炎の中から料理という名のショーを見せ付ける。速さの究極ではないでしょうか?
注文しても、いつまで待っても料理が来ないというのは、氣が遠くなるほど、いらだつ。その辺りは、みなさんも体験済みでありましょう。
その五、最後はマナーである。かっこよくありたい、礼儀正しくありたい。上品でありたい。賢くありたい、親切でありたい、尊敬されたい、大切にされたい、暖かくされたい、もてなされたい、それがマナーの中身であろう。
最高級のおもてなしとはいわないが、それをお店に求めるのである。自分がそうなりたい姿をモデルとして、お料理屋さんに求めているではないか?
公園にごみを捨てるのがどうの、歩きながら煙草を吸ったり、痰を吐いたりするなと言うのもマナーだが、これと食事のときのマナーは質が違うと私は思うのである。大袈裟かも知れないが、人類というのは、お食事中は、別なのではないだろうか。どんな偉い大臣でも、食べ方のマナーが悪い方は、片腕とも呼ばれる部下に歯向かわれるのではないでしょうか?
ざっと、このように考えるわけだが、「つりひろの男の料理」は、これらすべてをできる範囲でクリアしたいのである。
そこで、イワシの変わり巻を紹介しよう。
スーパーで、新鮮なイワシを見つけた時にだけ作る。イワシを数匹買ってきて、三枚におろし薄皮を剥ぐ。まあ、家でやるのが嫌なら、スーパーでやってもらってもいい。
きゅうりを半分の長さに切り、それを縦にして、細く切る。みょうがを縦に半分に切り、これをさらに細長く切る。大葉を縦に半分に切り、酢を切ったガリを用意する。いろいろ試したが、これはお寿司屋さんで出てくるやつがいい。
太巻きや海苔巻きなどの時に使う「巻き簾」の上に海苔一枚を敷く。海苔は、あまり安い海苔を使うとうまさが半減する。その上に、イワシを二枚ずつ二列に並べる。列と列の間は少し隙間を開けておく。その隙間の上に、半分に切った大葉を並べ、さらに、キュウリ、ミョウガ、ガリを並べていく。ポイントは、両端にキュウリ、ミョウガを三センチくらいはみ出すように並べることだ。これを中巻を巻く要領で巻いていく。巻き終わったら、半分に切って、それぞれを三等分にする六切れになる。あとは、細巻のように起こして、盛り付ける。両端のはみ出したキュウリ、ミョウガがアクセントになる。見た目も美しい。
そのまま食べてもいいし、醤油を少し付けて食べるのもよい。
その美味かったこと! 安い、イワシかよ!などとイワシの生を馬鹿にしてはいけない。一気にイワシ君を見直すことになった。
関連情報
幸せの知恵の宝庫 〜世の中に出ていない本質的な情報をお届け〜|万代宝書房
【万代宝書房】では哲学、思想、健康、刑事司法など、他では聞けない著者だけが知る本質や真実を伝える本を取り揃えております。著者の魂の叫びを時間と空間を超え、受け取りませんか?誰からの情報を受け取り、誰と繋がりたいですか?広く浅く読者に媚を売るような書籍を万代宝書房は出しません。少人数でも深く真実・核心をしたい方に著者の思いを伝えたいのです。万代の宝である、著者の持つ知恵を手に入れてください。
屋号 | 万代宝書房 |
---|---|
住所 |
〒176-0002 東京都練馬区桜台1-6-9 渡辺ビル102 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | 不定休 |
代表者名 | 釣部 人裕 |
info@bandaihoshobo.com |