谷から這い上がれなかった子は、我が子ではない。
谷から這い上がれなかった子は、我が子ではない。
◆這い上がれなかった子は、何なのか?
「獅子は我が子を千尋の谷に落とす、というだろう?」
ある方から、こんな話を聞きました。
獅子は我が子を深い谷へ突き落とし、這い上がってきた子だけを育てるという言い伝えがあります。もちろん、実際のライオンがそんな子育てをするわけではありません。
その方は、私に問いかけました。
「では、上がってこられなかった子は何なのか?」
私は答えられませんでした。
すると、こう言ったのです。
「我が子ではない、ということなんだ。わかるか? その深い意味が……」
さらに続けました。
「かわいい子には旅をさせろ、だって、その意味は深いんだぞ!」
私は、自然界の厳しさを感じました。
這い上がれなければ、生き残れない。
親がどれほど愛していても、代わりに生きてやることはできない。
自然界には、人間の感情ではどうにもならない現実があるのです。
◆昔の旅は、命がけだった
「かわいい子には旅をさせろ」
今なら、旅行を通じて見聞を広め、苦労を経験させるという程度に受け取るかもしれません。
しかし、昔の旅は命がけでした。
追剥や盗賊に襲われることもある。山道で遭難することもある。病気になっても、十分な治療を受けられるとは限らない。
旅に出たら、生きて帰ってこられる保証などなかったのです。
それでも、かわいい子には旅をさせろという。
なぜでしょうか。
親のいないところで、自分で考え、判断し、危険を乗り越える。
そして、無事に故郷へ帰ってきたとき。
その子は、旅に出る前とは別人のように成長しているのではないでしょうか。
親に守られていた子が、自分の力で生き抜いて帰ってくる。
同じ顔、同じ名前でも、中身は違う。
獅子の谷から這い上がった子も、同じではないでしょうか。
◆大相撲の仕組みが教えてくれたこと
別の機会に、その方から大相撲の話も聞きました。
大相撲は、厳しい勝負の世界です。
誰もが関取になれるわけではありません。
その方は、勝ち残れる人だけが残る仕組みになっているのだと話してくれました。
そして、こんな趣旨のことも言われました。
「無駄な時間を過ごさず、別の仕事に就けるようにもなっている」
私は、なるほどと思いました。
努力することは大切です。
しかし、努力すれば必ず報われるわけではありません。
十年、二十年と同じ道にしがみつくより、早く別の道へ進んだ方が、その人の才能を生かせることもある。
一つの世界で勝ち残れなかったからといって、人生が終わるわけではないのです。
むしろ、厳しい仕組みだからこそ、別の人生を始める機会が生まれる。
厳しさは、必ずしも冷たさではないのだと思いました。
◆本当の優しさとは、何なのか?
私たちは、子どもや若い人に「頑張ればできる」「諦めなければ夢はかなう」と言います。
それで力を発揮する人もいるでしょう。
しかし、努力しても越えられない壁があるのも現実です。
私は以前、高校で生徒を指導していました。
可能性を信じることは大切です。
でも、現実の厳しさを教えずに社会へ送り出すことが、本当に教育なのでしょうか。
もちろん、人の可能性を他人が簡単に決めつけてはいけません。
だからこそ、挑戦させることと、別の道を選ばせること。その両方を考える必要があるのだと思います。
「かわいい子には旅をさせろ」
「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」
どちらも、無事に帰ってくる保証はありません。
しかし、そこを生き抜いた者は、大きく変わる。
あの方の言葉を、私はまだすべて理解できたとは思っていません。
それでも、考え続けています。
守ることが愛情なのか。厳しい世界へ送り出すことが愛情なのか。
そして、あの言葉が、今も心に残っています。
「谷から這い上がれなかった子は、我が子ではない」
一隅を照らす 日本の歴史
商品紹介
心に紅の旗を立てよ――誰の、何の役に立つ人になるのか(ペーパーバック)
商品紹介
声にならない違和感 ── 内側へ戻る静かな旅
商品紹介
関連情報
幸せの知恵の宝庫 〜世の中に出ていない本質的な情報をお届け〜|万代宝書房
【万代宝書房】では哲学、思想、健康、刑事司法など、他では聞けない著者だけが知る本質や真実を伝える本を取り揃えております。著者の魂の叫びを時間と空間を超え、受け取りませんか?誰からの情報を受け取り、誰と繋がりたいですか?広く浅く読者に媚を売るような書籍を万代宝書房は出しません。少人数でも深く真実・核心をしたい方に著者の思いを伝えたいのです。万代の宝である、著者の持つ知恵を手に入れてください。
| 屋号 | 万代宝書房 |
|---|---|
| 住所 |
〒176-0002 東京都練馬区桜台1-6-9 渡辺ビル102 |
| 営業時間 | 9:00〜17:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| 代表者名 | 釣部 人裕 |
| info@bandaihoshobo.com |