AIで仕事を減らすつもりが、仕事が増えた!
AIで仕事を減らすつもりが、仕事が増えた!
◆AIを使えば、仕事が楽になる?
そう思いませんか?
私もそう思っていました。
私は今、仕事でかなりAIを使っている。原稿の校正、企画、調べ物、資料づくり、書面の作成。出版社の仕事には、AIを活用できる場面が山ほどある。
以前なら何時間もかかっていた仕事が、短時間で終わることもある。
便利だ。実に便利だ。
では、仕事が楽になったのか?
とんでもない。
仕事が増えた。
おかしいー。
仕事を減らすためにAIを使い始めたはずなのに、以前より忙しくなっている。
しかも、誰かに仕事を増やされたわけではない。
自分で増やしている。
◆AIが仕事をすると、私の仕事が増える
例えば、本を一冊つくる。
原稿を読み、構成を考え、著者とやり取りをする。校正をして、表紙や帯の言葉を考え、Amazonなどの販売文章も検討する。
AIを使うと、それぞれの作業が速くなる。
すると、遅れていた仕事にも手をつけられる。
次の工程に進む。
そこで、またAIを使う。
「おっ、早いな」
じゃあ、これもやろう。
あれもできるんじゃないか?
こうして仕事が進んでいく。
これは楽しい。今まで時間がなくてできなかったことまでできるのだから。
ところが、原稿が進めば、次の判断が必要になる。企画がまとまれば、著者や関係者と打ち合わせをする。
一つ終わると、次が出てくる。
そして、私のところに仕事が溜まっていく。
ちょっと待ってくれよ。
AIは仕事を片づけているのに、私は仕事に追いかけられている。
◆犯人は、私だった!
仕事には「ボトルネック」という言葉がある。
瓶の首のように細くなっている部分のことだ。
どんなに大きな瓶でも、中身が出てくる量は、瓶の首の太さで決まる。
ほかの工程がいくら速くなっても、一か所で詰まれば、そこで止まる。
では、私の仕事のボトルネックはどこなのか?
私だった。
なんだ、私か。
AIは原稿を整理してくれる。企画のたたき台もつくってくれる。文章だって書いてくれる。
でも、出てきた文章を読むと、
「いや、ここのポイントが違うな」
「この表現じゃないんだよな」
となる。
AIに直してもらう。
また読む。
「うーん、そうじゃない」
結局、自分で直している。
これなら最初から自分で書いた方が早かったんじゃないか、と思うこともある。
それでも、またAIを使う。
なんでだろうね。
便利だからだ。
企画も同じだ。AIはいろいろ提案してくれる。でも、それを本当にやるのか。著者の思いが伝わっているのか。その本を世の中に出すのか。
最後は私が決める。
私が腑に落ちなければ、先に進めない。
AIが仕事を速くすればするほど、私のところに判断を待つ仕事が集まってくる。
まさか、AIを使って自分の首を絞めるとは思わなかった。
◆AIは疲れない。でも、私は疲れる
AIを使えば、10時間かかっていた仕事が1時間で終わるかもしれない。
だったら9時間、自由になるはずだ。
ところが、空いた時間に別の仕事を入れてしまう。
その仕事が進むと、また次の仕事が出てくる。
雪だるま式だ。
しかも、AIは疲れない。
夜でも朝でも、こちらが頼めば仕事をしてくれる。
こちらも調子に乗って、次から次へと頼んでしまう。
でも、私は疲れる。
身体は一つしかない。
成果が増えるのはありがたい。やりたいことができるのも楽しい。
でも、仕事が終わらない。
それなら、判断までAIに任せてしまえばいいのか?
いや、それは違うだろう。
私が「違う」と思った文章を、そのまま本にするわけにはいかない。
著者に対しても、読者に対しても、それでは無責任だ。
では、どうする?
◆AIを使うのか? AIに使われるのか?
最近、ふと思う。
私はAIを使っているつもりだった。
でも、AIがどんどん仕事を進めるものだから、それに合わせて私も仕事をしている。
これって、AIに使われているんじゃないか?
そもそも、AIを使って何をしたかったのか。
仕事を減らしたかったのか。
それとも、もっといろいろな仕事をしたかったのか。
たぶん、両方だ。
ここが厄介なのだ。
私は、やりたいことが結構ある。
だから、AIのおかげでできることが増えると、うれしくなって、また仕事を増やしてしまう。
でも、それを全部自分で抱え込んでいたら、身体がもたない。
そこで、もう一度考えた。
私にしかできない仕事って、何だろう?
AIが書いた文章を読んで、「何か違う」と感じること。
著者の話を聞いて、「これは本にしたい」と思うこと。
本当に出版するかどうか、最後に決めること。
そして、その結果に責任を持つこと。
そういう仕事は、私がやりたい。
いや、そこをやらなかったら、私が出版社をやっている意味がないじゃないか。
だったら、そこに時間を使うためにAIを使えばいい。
そう思う。
思うんだけど、現実には、今日もまたAIを使って仕事を増やしている。
困ったものだ。
AIを使うのか、AIに使われるのか。
あなたは、どうですか?
私はまだ、AIに使われているところが結構あるようです。
自戒を込めて。
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