◆AIの文章は、なぜ腑に落ちないのか?

◆AIの文章は、なぜ腑に落ちないのか?

AIを活用していますか?

私は毎日のように使っている。
原稿の編集、校正、企画、調べ物など、今や仕事に欠かせない存在。

ただ、AIが書いた文章を読んでいると、ときどき、いや、結構違和感を覚える。

「確かにそうだけど、俺が言いたいのはそういうことじゃないんだよ」

文章はうまい。論理的だし、きれいにまとまっている。でも、何かが違う。
だから、本の原稿には正直使えない。
解説書やカタログなら使えるが…。
誤字脱字のチェックでは、さすがの力を発揮する。
でも、リライトさせるより、自分で書き直した方が早いことも多い。

最近、その違いは「身体感覚」にあるのではないかと思っている。

◆真実より、嘘の方が広がる?

今、SNSでは正確な情報が必ずしも広がるわけではない。

アルゴリズムは、情報の正しさだけでなく、人がどれだけ反応するかを重視する。

驚く話、怒りたくなる話、不安をあおる話。そんな情報ほど拡散されやすいことがある。

厄介なのは、フェイクニュースは真実よりも「魅力的」に作れてしまうことだ。

事実には制約がある。しかし、嘘ならいくらでも面白くできる。
AIを使えば、もっともらしい話を大量に作ることもできる。

画像や動画は、それを見抜くのが結構大変なくらい進化している。

では、私たちはどうすればいいのか。

もっと知識を増やすことだろうか?

私は、そこではないと思っている。

◆頭ではなく、腹で納得しているか?

「腑に落ちる」という言葉がある。

面白い日本語だと思わない?
頭に落ちるとは言わない。腑に落ちると言う。
腑とは内臓のことだ。

頭で理解することと、身体で感じて納得することは違うということだ。

例えば、経営の本を読めば、資金繰りの大切さは誰でも理解できる。

でも、実際に資金繰りで苦労している経営者にとって、その言葉はまったく違う意味を持つ。

私も出版社を経営しているから、よくわかる。

知識として知っていることと、
自分の問題として腑に落ちていることは違うのだ。

◆身体感覚は、どこで養うのか?

私は、その一つが「場」だと思っている。

山でも海でもいい。神社やお寺、お墓参りでもいいし、ある人に会いに行くことかもしれない。
散歩かもしれない。瞑想かもしれない。

高いところに登ることかもしれない。

大切なのは、そこで何を感じるかだ。

同じ場所に行っても、何も感じない人もいれば、人生が変わるほどの気づきを得る人もいる。

場には、その場所ならではの空気がある。歴史や人々の想いを感じる場所もあれば、ただ歩いているだけで、何かが腑に落ちることもある。

それを頭で理解するのと、実際にその場に身を置いて感じるのとでは違う。

私は、この「場の力」をもっと活用していいと思っている。

経営者が会社の方向性を考えるときも、著者が自分の伝えたいことを探すときも、机に向かって考えるだけが方法ではない。

場所を変え、人に会い、自分が何を感じるかを確かめてみる。

思いがけず、腑に落ちることがあるかもしれない。

 

◆その言葉は、本当に自分の言葉か?

私は「信じるな! 疑うな! 確かめろ!」と言っている。

これはAIにも当てはまる。

AIが書いたから正しいわけではないし、AIが書いたから間違っているわけでもない。

事実かどうかを確かめることはもちろん、自分自身が納得しているかどうかも確かめたい。

私はAIをこれからも使う。便利なものは使えばいい。

でも、AIが作った文章を、自分が腑に落ちないまま発信するつもりはない。

あなたも、何かを発信しようとするとき、ちょっと胸や腹に手を当てて、自分に聞いてみてはどうだろう。

「これは本当に自分の実感なのか?」

頭ではなく、身体に聞いてみるのだ。

AIは文章を作ってくれる。でも、その言葉が腑に落ちているかどうかは、自分の身体にしかわからない。

そこから、自分だけの言葉が生まれるのではないだろうか。

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