がん細胞は、本当に殺すしかないのか?
がん細胞は、本当に殺すしかないのか?
◆がん細胞は、敵なのか?
「がん細胞をやっつける」
そんな言葉を、何度聞いてきただろう。
がんと闘う。
がんを攻撃する。
がん細胞を殺す。
がん治療の話になると、こうした言葉が当たり前のように出てくる。
手術で取り除く。抗がん剤で攻撃する。放射線を当てる。
もちろん、こうした治療によって、多くの人が命を救われてきた。
それを否定するつもりはない。
でも、私は以前から、ちょっと引っかかっていた。
がん細胞って、もともとは自分の細胞じゃないの?
外から侵入してきた細菌やウイルスとは違う。
自分の身体の中にあった正常な細胞が、何らかの変化を起こして、がん細胞になる。
昨日まで仲間だった細胞が、ある日突然、敵になる。
もちろん、実際には突然ではなく、長い時間をかけて変化する場合もある。
それでも、不思議ではないだろうか。
もともと自分の細胞だったのなら、元に戻ることはないのだろうか。
殺す以外に、方法はないのだろうか。
◆がん細胞を「育てる」治療がある?
ここで、ちょっと面白い話をしたい。
実は、がん細胞を殺すのではなく、成熟させることで治療する方法がある。
「分化誘導療法」という。
私がこの治療法を知ったとき、正直、驚いた。
「えっ、がん細胞を殺さないの?」
代表的なのが、急性前骨髄球性白血病という血液のがんだ。
この病気では、白血球になる途中の未熟な細胞が、正常に成熟できなくなってしまう。
その未熟な細胞が増え続ける。
そこで、ビタミンAに関連する薬剤である全トランス型レチノイン酸(ATRA)などを使う。
すると、未熟な白血病細胞の成熟が促される。
つまり、がん細胞を単純に攻撃して殺すのではなく、細胞の性質を変えることで治療するのだ。
もちろん、すべてのがんに使える治療法ではない。
また、がん細胞が完全に元の正常細胞に戻るという意味でもない。
それでも、私は面白いと思った。
がん細胞への対処法は、殺すことだけではなかったのだ。
◆「がん細胞は元に戻る」と言った人
2026年、私は鹿児島での出会いをきっかけに、山﨑教男さんという人物を取材することになった。
山﨑さんは、ソマチットや硅素、生命の仕組みについて、長年独自の仮説を考えてきた人だ。
その中に、こんな考え方があった。
「がん細胞は、元に戻る可能性がある」
私は、引っかかった。
「元に戻るって、どういうこと?」
正常な細胞に戻るということなのか。
がん細胞としての性質を失うということなのか。
それとも、別の変化が起きるということなのか。
同じ「元に戻る」という言葉でも、意味はずいぶん違う。
山﨑さんは、ソマチットや硅素などを含めた生命の仕組みから、がん細胞の変化を考えている。
現在の医学で確立された説明とは異なる部分もある。
だから私は、いろいろ質問した。
「どうして、そう考えるの?」
「実際に、何が起きるということなの?」
「それは、どうやって確かめるの?」
聞けば聞くほど、疑問が増えていった。
でも、面白かった。
そして、山﨑さんが長年考え続けてきたことを、38の生命仮説として一冊の本にまとめた。
◆「消えた」と「元に戻った」は同じなのか?
がんについて調べていると、
「がんが消えた」
という話を耳にすることがある。
でも、私はここでも引っかかる。
「消えたって、どういうこと?」
例えば、手術で取り除かれた。
抗がん剤などの治療で腫瘍が小さくなり、検査で確認できなくなった。
免疫の働きによって、がん細胞が排除された。
あるいは、細胞の性質が変わった。
これらは、同じことではない。
画像検査で腫瘍が見えなくなったとしても、身体の中にがん細胞が一つも残っていないと証明されたわけではない。
また、がん細胞が成熟して増殖する力を失うことと、完全に元の正常細胞に戻ることも違う。
だから、「がんが消えた」という話を聞いたら、私は知りたくなる。
何が起きたのか。
どうやって確認したのか。
治療の前後で、何が変わったのか。
ここを確かめなければ、話は始まらない。
◆身体の中で、何が起きているのだろう?
私は20年以上前、森下敬一先生の月刊『自然医学』の出版部に勤務していた。
森下先生は、腸造血説など、従来の医学とは異なる考え方を提唱していた。
その傍らで、私はいろいろな話を聞いた。
その一つが、
「がん細胞は消滅する」
という話だった。
当時の私には、その意味も仕組みも、十分には理解できなかった。
それでも、病気を身体全体の問題として捉える考え方には興味を持った。
がん細胞だけを見ていて、がんという病気のすべてが分かるのだろうか。
なぜ、その細胞はがん化したのか。
なぜ、身体はその増殖を抑えられなかったのか。
細胞を取り巻く環境は、どう関係しているのか。
現代医学でも、がんの発生や進行には、遺伝子の変化だけでなく、免疫や炎症、細胞の周囲の環境などが関係することが研究されている。
つまり、がん細胞そのものだけでなく、がん細胞を取り巻く環境も重要なのだ。
私は、ここに興味がある。
身体の中で、いったい何が起きているのだろう。
◆殺すか、戻すか。それだけなのか?
ここまで書いてきて、もう一つ考えた。
がん細胞への対処法は、「殺すか、元に戻すか」の二つだけなのだろうか。
実際には、そうではない。
がん細胞の増殖を抑える。
免疫の働きを利用する。
細胞の性質を変える。
がん細胞に栄養や酸素を供給する血管の形成を妨げる。
現代のがん治療にも、さまざまな方法がある。
だから、「現代医学はがん細胞を殺すことしか考えていない」と言ってしまえば、それは正確ではない。
しかし、私が面白いと思うのは、そこなのだ。
がん細胞への向き合い方は、一つではない。
それなら、まだ知られていない仕組みがある可能性も、考えてみる価値はあるのではないだろうか。
もちろん、可能性があることと、実際に治療として使えることは別だ。
仮説があるだけで、治療効果が証明されたことにはならない。
そこは区別しなければならない。
◆だから「がん細胞は、消えるのか?」なのだ
私が出版した本のタイトルは、
『がん細胞は、消えるのか?』
である。
「がん細胞は消える」と断定したわけではない。
「消えるのか?」と問いかけているのだ。
私は、この違いを大切にしている。
山﨑教男さんの「がん細胞は元に戻る可能性がある」という仮説についても、まだ確かめたいことがたくさんある。
本当に、そんな変化が起きるのか。
起きるとしたら、どんな条件なのか。
それは、どうやって確認できるのか。
分化誘導療法という実際の治療法が存在するからといって、山﨑さんの仮説が証明されたわけではない。
でも、がん細胞の性質が変化するという現象が、医学の中に存在することは事実だ。
私は、そこから考えてみたい。
がん細胞は、なぜ生まれるのか。
なぜ増え続けるのか。
そして、変化することはあるのか。
がん細胞は、本当に殺すしかないのか?
答えは、すでに「殺すだけではない」というところまで来ている。
では、その先には何があるのだろう。
私は、そこを確かめたい。
信じるな! 疑うな! 確かめろ!
【関連書籍】
『がん細胞は、消えるのか? 山﨑教男・38の生命仮説』
がん細胞、ソマチット、硅素、生命の仕組み。山﨑教男氏が長年考えてきた38の生命仮説を紹介した一冊。
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信じるな! 疑うな! 確かめろ! がん細胞は、消えるのか? 山﨑教男・38の生命仮説
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