「ぶれない人生軸」を書いたのは、ぶれ続けた人だった
「ぶれない人生軸」を書いたのは、ぶれ続けた人だった
この本は、第2回万代宝書房大賞の優秀賞受賞作品です。
著者は、星陽介さん。
本のタイトルは、
『元幹部自衛官の熱血講演家が明かす、〝ぶれない人生軸〟がつくれる「カコミラ分析」』
長いタイトルです(笑)。
でも、このタイトルには、星さんが歩いてきた人生がそのまま詰まっています。
万代宝書房大賞の選考で、私たちがこの作品に注目したのが、
星さん独自の「カコミラ分析」でした。
過去(カコ)と未来(ミライ)をつなげて、「ぶれない人生軸」をつくる。
過去の自分を振り返るだけではない。
未来の理想だけを描くのでもない。
自分はこれまで何を大切にしてきたのか。
これからどんな自分になりたいのか。
そして、どんな社会をつくっていきたいのか。
それを一本につなげていく。
選考時にも、現代の多くの人が抱えている迷いや不安に対して、一つの道筋を示すものだと感じました。
そして、もう一つ評価したのが、単なる理論ではなかったことです。
星さん自身の実体験が、これでもかというくらい入っている。
むしろ、そちらの方が面白いくらいです。
◆「ぶれない人生軸」を書いた人は、思い切りぶれていた
星さんは元幹部自衛官です。
現在は若者たちへのキャリア教育の講演なども行っています。
これだけ聞くと、
「昔から目標が明確で、志を持って一直線に生きてきた人なのかな」
と思いますよね。
ところが、まったく違います。
本人が原稿の中で書いています。
約6年間、落ちこぼれ続けた。
やりたいことが見つからず、悩み続けた。
生活はゴミ屋敷一歩手前。
そして、500万円以上騙された。
かなり、しくじっています。
でも、私はここが面白いと思いました。
「ぶれない人生軸」を、最初からぶれなかった人が書いているのではない。
思い切りぶれた人が書いているのです。
◆元幹部自衛官。でも、最初から志があったわけではない
星さんは2013年、陸上自衛隊の一般幹部候補生として入隊し、2018年に退職しています。
幹部自衛官として、部下を率いる立場にもなりました。
でも、自衛隊に入れば人生の答えが見つかった、という話ではありません。
「自分は、本当に何がやりたいんだろう」
その問いは消えなかった。
仕事で結果が出ない。
同期や後輩に追い抜かれる。
劣等感を持つ。
現在の「熱血講演家」という姿だけを見ていると、なかなか想像できない時代です。
でも、だからこそ、自分自身を徹底的に見つめるようになったのだと思います。
◆自衛隊を辞めても、うまくいかなかった
自衛隊を辞めれば人生が開けた。
そんなきれいな成功物語でもありません。
営業職。
アルバイト。
起業への挑戦。
そして、500万円以上騙された経験。
それでも星さんは、
「自分は、どう生きたいんだ」
という問いから逃げなかった。
過去を振り返る。
自分が何に喜び、何に悔しさを感じ、何を大切にしてきたのかを考える。
そして未来を見る。
どんな自分になりたいのか。
どんな社会をつくりたいのか。
その「過去」と「未来」をつないでいく中から生まれたのが、
「カコミラ分析」
です。
◆失敗した経験が、誰かの役に立つ
私は、この本を単なる自己分析の本だとは思っていません。
星さんという一人の人間が、
「自分の人生をどう生きるのか」
を考え続けた記録でもあります。
そして面白いのは、自分のために始めたことが、やがて他の人のためのものになっていったことです。
星さんは大学生の前で講演したことをきっかけに、就活生の自己分析相談を始めます。
SNSでも発信を続けた。
それが学校関係者の目に留まり、キャリア教育の講演へとつながっていきました。
かつて、
「自分は何をしたいんだ」
と悩んでいた人が、今度は同じように悩んでいる若者の前に立っている。
人生って、分からないものです。
そのときは、
「なんでこんな目に遭うんだ」
と思ったことでも、あとになって誰かの役に立つことがある。
しくじったから話せることもある。
遠回りしたから分かることもある。
星さん自身も、自分のしくじった経験を含めて若者に話すことに価値があるのではないか、と考えるようになったことを書いています。
◆だから、優秀賞だった
第2回万代宝書房大賞の選考時、私たちはこの作品について、
独自の「カコミラ分析」によって、読者が自分自身を見つめ、未来を考える道筋を示している。
そして、単なる理論や哲学ではなく、著者自身の実体験をもとに書かれている。
そこを評価しました。
出版して、改めて原稿を読み返してみても、その印象は変わりません。
むしろ私は、
「ぶれない人生軸」という言葉の意味は、星さんのしくじりを知って初めて分かる
ような気がしています。
最初からぶれなかったのではない。
ぶれた。
迷った。
落ち込んだ。
失敗した。
騙された。
それでも、
「じゃあ、自分はどう生きるんだ」
と考えることをやめなかった。
だから、「カコミラ分析」が生まれた。
◆やりたいことが分からない人へ
「やりたいことが分からない」
「このままでいいのかな」
「自分には何が向いているんだろう」
そんなことを考えたことがある人は、多いと思います。
私だってあります。
だから私は、星さんの「うまくいった話」だけを読んでほしいとは思いません。
むしろ、その前を読んでほしい。
迷ったところ。
しくじったところ。
格好悪かったところ。
そこから、どうやって自分なりの人生軸を見つけていったのか。
「ぶれない人生軸」を書いたのは、ぶれ続けた人だった。
私は、そこがこの本の一番面白いところだと思っています。
『”ぶれない人生軸”をつくる「カコミラ分析」』
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