「元気ですかー!」って、深かったんだな
「元気ですかー!」って、深かったんだな
「元気ですかー!」
アントニオ猪木さんの、あまりにも有名な言葉だ。
そして、
「元気があれば何でもできる」
何百回と聞いてきた。
もちろん、私も知っていた。
でも正直に言えば、私はこの言葉を、それほど深く考えたことがなかった。
「元気出していこうぜ!」
という励ましの言葉。
みんなのエネルギーを一気に上げる言葉。
そして、大勢の観客を一つにするためのパフォーマンス。
そのくらいにしか見ていなかった。
ハッキリいえば、バカの一つ覚えのよう、いくつになってもよく叫べるよな! くらいに、半分、馬鹿にもしていた。
「元気ですかー!」
「元気があれば何でもできる!」
はいはい。猪木さんのいつものやつね。
そのくらいだった。
でも今回、救急車で運ばれて入院して、仕事事は考えることも出来ず、ベッドにただ寝て、目を覚まして、また寝て、そんなことを繰り返していて、ふと猪木さんの姿が出てきた。
そして思った。
これって、深かったんじゃないか?
猪木さんは、「健康ですかー!」とは言っていない。
「元気ですかー!」なんだ。
そして、「健康なら何でもできる」でもない。
「元気があれば何でもできる」なんだ。

健康と元気。
同じような言葉として使っているけど、同じではない。
今回、私は心拍数が150くらいになった。
救急搬送されたときには170。
医学的には、どう考えても正常ではない。
ところが、その前日まで仕事をしていた。
パソコンも打てた。
歩けた。
普通に話もできた。
胸も痛くない。
息苦しくもない。
自分では、それほど具合が悪いと思っていなかった。
調子が良くないなー。いずれ戻るだろう! そんな感じ…。
では、あのとき俺は、
元気だったのか?
元気じゃなかったのか?
電気ショックを受けて心拍数は60くらいに戻った。
数値は、安定していて、退院した。
検査の数値だけを見れば、入院したときよりずっといい。
でも、退院したからといって、いきなり何でもできるわけじゃない。
身体は疲れる。
少し動けば休みたくなる。
眠くもなる。
集中する時間も短い。
だったら、
元気って、なんだ?
あらためて、猪木さんの言葉の意味を考えてしまう。
「元気ですかー!」
今までなら、ここで終わっていた。
人を励ます言葉。
エネルギーを上げる言葉。
会場を一つにするパフォーマンス。
でも、もしかしたら、それだけじゃなかったのかもしれない。
そもそも「元気」という言葉。
元の気。
元の気がある。
元の気に戻る。
そういう意味だ。
でも、これは言葉遊びではないだろう。
私は高校2年生のとき、
「人はなぜ健康になりたいんだ?」
と思ったことがある。
同時に、
「でも、健康になりたくない人もいるぞ?」
とも思った。
そして、
「そもそも健康ってなんだ?」
となった。
あれから、ずいぶん時間が経った。
それでも答えは出ていない。
そして65歳になって、救急車で運ばれ、心臓に電気ショックを受けた。
そこで今度は、
「元気ってなんだ?」
が出てきた。
健康と元気は違うぞ!
身体に病気があっても、元気な人はいる。
検査の数値が正常でも、元気じゃない人もいる。
だとしたら、俺が欲しいのは、
「健康」なのか。
それとも、
「元気」なのか。
まだ、よく分からない。
ただ、一つだけ、前とは違って聞こえる言葉がある。
「元気ですかー!」
「元気があれば何でもできる」
何百回も聞いてきた。
半分、馬鹿にもしていた。

でも、自分が救急車で運ばれて、入院して、退院して。
ようやく、この言葉をちゃんと考えた。
猪木さん。
これ、ずいぶん深いこと言ってたんだな。
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