あなたの確証バイアスを知っていますか?
あなたの確証バイアスを知っていますか?
「人間は、見たいものを見る。」
これは単なることわざではありません。
心理学でも脳科学でも知られている、人間の脳の特徴です。
冤罪について取材をしていた際、ある言葉が強く印象に残りました。
「人間の脳は、自分の見たいものを見る。」
犯人だと思えば、犯人らしい証拠ばかりが目に入る。
逆に、無実だと思えば、無実を裏付ける証拠が目に入る。
これは悪意ではありません。
人間の脳そのものの仕組みなのです。
この現象は「確証バイアス」と呼ばれています。
自分の思い込みや仮説を裏付ける情報ばかりを集め、反対の情報を無意識に軽視してしまう心理傾向です。
例えば、
「それはたまたまだよ。」
「例外でしょう。」
「考えすぎじゃない?」
「そんなはずはない。」
「○○に決まっている。」
こんな言葉を口にしたことはありませんか。
実は、その瞬間、私たちは自分の考えを守ろうとしているのかもしれません。
「あの人は嫌な人」
一度そう思うと、不思議なことが起きます。
嫌なところばかりが目につくのです。
「あ、今日もやっぱり。」
そうやって、自分の思い込みを、自分自身で証明し続けてしまいます。
本当は、その人にも優しさがあり、誠実さがあり、長所もあるはずです。
しかし、一度「嫌な人」というラベルを貼ってしまうと、そこには目が向かなくなります。
見えないのではありません。
見ようとしていないのです。
この確証バイアスは、人間関係だけの話ではありません。
裁判や捜査でも問題になります。
犯人だと思って捜査を始めると、犯人らしい証拠ばかりを集めてしまう。
反対に、無実を示す証拠は見落とされたり、重要性が低く評価されたりする危険があります。
だからアメリカでは、「人間は間違える」という前提で制度を改善しようという考え方が進んでいます。
間違いを隠すのではなく、
なぜ間違えたのか。
それを検証し、同じ間違いを繰り返さない仕組みをつくる。
これこそが、本来の科学的な姿勢なのだと感じました。
私は、この確証バイアスを和らげる実践があると思っています。
純粋倫理には、「美点発見100」という実践があります。
一人の人について、100個の長所や良いところを書き出していく実践です。
最初の10個、20個くらいまでは比較的書けます。
ところが、30個、40個と進むにつれて手が止まります。
「もうない。」
そう思ってからが、本当の学びです。
さらに考え続けると、
「あの人には、こんな一面もあった。」
「そういえば、あの時は助けてもらった。」
「責任感は強い人だった。」
今まで見えていなかった姿が、少しずつ見えてきます。
相手が変わったわけではありません。
変わったのは、自分の見方です。
「あの人は嫌な人だ。」
そう決めつけていた自分の確証バイアスが、少しずつ和らいでいくのです。
美点発見100は、相手を美化するための実践ではありません。
自分の思い込みを見直すための実践なのだと思います。
私は、「思い込み」は「重いゴミ」だと考えています。
頭の中にたまった思い込みは、自分ではなかなか気づけません。
しかし、その重いゴミが、
人間関係を悪くし、
仕事の判断を誤らせ、
時には人生そのものを左右してしまいます。
だからこそ、ときどき頭の中を掃除することが必要なのではないでしょうか。
成長し続ける人の共通点があると思います。
成功し続ける人には、信念があります。
しかし、その信念と「思い込み」は違います。
「自分は間違っていないか。」
「もっと良い方法はないか。」
そう問い続ける習慣があります。
松下幸之助さんも、そのような姿勢を大切にしていた一人ではないでしょうか。
信念は持つ。
しかし、思い込みには縛られない。
だからこそ、成長し続けられるのだと思います。
部屋の掃除も大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、頭の中の掃除かもしれません。
「私は決めつけていないだろうか。」
「反対の意見にも耳を傾けているだろうか。」
「本当に事実を見ているのだろうか。」
そう自分に問いかけるだけで、見える世界は変わります。
私たちは、自分は物事を客観的に見ていると思いがちです。
しかし、本当に見ているのは、「事実」ではなく、「自分が見たい事実」なのかもしれません。
だからこそ、ときには意識して反対側から物事を眺め、美点を探してみる。
その習慣が、頭の中に積もった「重いゴミ」を少しずつ取り除き、より自由で豊かなものの見方へと導いてくれるのではないでしょうか。
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