きものは農業だった そして、その先にあったのは“生き方”だった

きものは農業だった

そして、その先にあったのは“生き方”だった

中谷比佐子さんの本は、単なる「きものの本」ではありません。

むしろ私は、この本を読みながら、

「人は何のために仕事をするのか」

という問いを考え続けていました。

 

出版社をやっていると、さまざまな分野の著者と出会います。

その中でも中谷比佐子さんは、少し特別な存在です。

取材者であり、記録者であり、そして何より「現場を歩く人」。

机の上で情報を集めるのではなく、自ら足を運び、人に会い、土に触れ、現場の声を聞き続けてきた人です。

今回ご紹介する

『続・きものという農業』

も、そんな中谷さんだからこそ書けた一冊だと思います。

 

「きものは農業からできている」

そう聞いて、驚く人もいるかもしれません。

私自身も最初はそうでした。

しかし考えてみれば当然です。

桑を育てる。

蚕を育てる。

糸を取る。

染める。

織る。

仕立てる。

一枚のきものが出来上がるまでには、想像を超えるほど多くの人の手と時間が関わっています。

 

本書に登場する人たちは、単なる職人ではありません。

養蚕農家。

染織家。

草木染作家。

織物研究者。

そして、文化財を未来へつなぐ人たち。

彼らに共通しているのは、

「効率」

ではなく、

「本物」

を追い求めていることです。

 

例えば、国から「在来絹制作」の選定保存技術保持者として認定された、日本で唯一の方。

桑を育てる。

蚕を育てる。

糸を取る。

染める。

織る。

そして自ら着る。

そこまで含めて「一貫作業」だと言います。

私はこの考え方に深く心を動かされました。

 

現代社会は分業化が進みました。

便利になりました。

効率も上がりました。

しかしその一方で、

「自分の仕事が何につながっているのか」

見えにくくなった部分もあります。

志村さんの生き方は、その逆です。

最初から最後まで責任を持つ。

素材にも向き合う。

自然にも向き合う。

そして出来上がったものを自分自身で使う。

そこには仕事というよりも、

一つの哲学があります。

 

また、本書で印象的だったのは、

中谷さんが単に技術を取材しているのではないということです。

人を取材している。

生き方を取材している。

そう感じました。

 

本書には何度も

「自然」という言葉が登場します。

自然の声を聞く。

自然を尊ぶ。

自然に教わる。

それは単なる農業論ではありません。

現代人が忘れかけている感覚への問いかけでもあります。

 

特に心に残ったのは、中谷さん自身の言葉です。

取材を通して、

「人としての生き方を学ばせてもらった」

と書かれています。

私はこの一文に、この本の本質があるように思いました。

 

きものの本。

染織の本。

養蚕の本。

そう読むこともできます。

しかし私は、

「人間は自然とどう向き合って生きるのか」

を考える本だと思っています。

 

今の時代、

安く早く大量に。

それが当たり前になりました。

けれど本書に登場する人たちは違います。

時間をかける。

手間をかける。

自然と対話する。

そして次の世代へ文化を残そうとする。

 

だからこの本は、きものに興味がある人だけの本ではありません。

ものづくりに関わる人。

農業に関わる人。

伝統文化に関心がある人。

そして何より、

「本当に大切なものは何か」

を考えたい人に読んでほしい一冊です。

読み終えたとき、きものを見る目が変わるかもしれません。

そして、自分の仕事を見る目も少し変わるかもしれません。

それが、この本の持つ力だと私は感じています。

続・きものという農業 大地からきものを作る人たち

通常価格

1760

(税込)
BASEで購入 Amazonで購入 楽天ブックスで購入

※商品価格以外に別途送料がかかります。

商品紹介

前の『きものという農業』の本を出して14年の歳月の間に、人の生きる姿勢も様変わりしました。そういう中でひたすら自然との対話を続け、先人たちの残した技をさらに高めて次の世代につないでいこうという方もたくさんいらっしゃいます。モノづくりの現場は自然との対話、宇宙法則によって動くというような次元の高さになっている人もいらっし…

関連情報

幸せの知恵の宝庫 〜世の中に出ていない本質的な情報をお届け〜|万代宝書房

万代宝書房

【万代宝書房】では哲学、思想、健康、刑事司法など、他では聞けない著者だけが知る本質や真実を伝える本を取り揃えております。著者の魂の叫びを時間と空間を超え、受け取りませんか?誰からの情報を受け取り、誰と繋がりたいですか?広く浅く読者に媚を売るような書籍を万代宝書房は出しません。少人数でも深く真実・核心をしたい方に著者の思いを伝えたいのです。万代の宝である、著者の持つ知恵を手に入れてください。

屋号 万代宝書房
住所 〒176-0002
東京都練馬区桜台1-6-9 渡辺ビル102
営業時間 9:00〜17:00
定休日 不定休
代表者名 釣部 人裕
E-mail info@bandaihoshobo.com

コメントは受け付けていません。

特集