なぜ、万代宝書房は「残る本」をつくるのか
なぜ、万代宝書房は「残る本」をつくるのか
万代宝書房の思い
―「残る本」をつくるという選択―
■ すべての原点にあった一冊の記録
その本は、ずしりと重かったのを覚えています。
父が関わった、ガダルカナルの記録でした。
戦争という極限の中で、人が何を見て、何を感じ、どう生きたのか。
そこには、作られた物語ではない、消すことのできない現実がありました。
子どもの頃、そのすべてを理解できたわけではありません。
ただ一つ、強く残った感覚があります。
「これは、残さなければならないものだ」
この感覚が、私の出版の原点です。
■ ジャーナリストとして見てきた現実
私はその後、ジャーナリストとして、ノンフィクションを書く立場として、
多くの現場に向き合ってきました。
そこには、名前の残らない出来事があり、
語られないまま消えていく人生がありました。
人の経験は、そのままでは残りません。
しかし、言葉にされ、本という形を持った瞬間、
それは誰かに届く「意味」に変わります。
私は、その現場を何度も見てきました。
■ 「残る本」という考え方
万代宝書房が目指しているのは、「売れる本」ではありません。
本は、売るものではなく、残すものだ。
売れる本は、時代の流れの中で生まれます。
しかし残る本は、もっと深いところから生まれます。
・誰かの人生が刻まれている
・簡単に消費されない問いを持っている
・読む人の中に残り続ける
そうした本は、派手ではなくても、確実に生き続けます。
■ 出版業界への違和感
出版の世界に入って感じたのは、
「売れるかどうか」が先に来てしまう構造です。
もちろん、売れることは大切です。
しかし本来、本とは
「残す価値があるかどうか」から始まるべきではないか。
ジャーナリストとしての感覚と、
出版の現場との間に、私はそのズレを感じてきました。
■ 先が見えない時代の中での葛藤
正直に言えば、迷いがなかったわけではありません。
出版社が減り、書店が閉じ、
一方でSNSやネット書店が主役になっていく。
出版の形そのものが変わり、
「これからどうなるのか分からない」
そんな時代の中にいます。
きれいごとでは進まない現実も、何度も見てきました。
それでも、考え続けた結果、
一つだけはっきりしたことがあります。
時代がどう変わっても、残るものは残る。
■ 出版の現実を正直に伝える
もう一つ、大切にしていることがあります。
それは、出版の現実を曖昧にしないことです。
今の時代、出版社だけで本が売れることはほとんどありません。
著者自身の発信や活動があって、
初めて本は届きます。
届かない本は、存在していないのと同じです。
だからこそ私は、最初からこの現実をきちんと伝えます。
そのうえで、どう届けるかを一緒に考えたいのです。
■ 万代宝書房のやり方
万代宝書房では、出版の形を一つに決めていません。
商業出版、協力出版、POD、電子書籍。
それぞれに役割があり、
本の内容や著者の状況によって最適な形は変わります。
大切なのは、「どの方法が正しいか」ではなく、
**「その本にとって最適かどうか」**です。
そしてもう一つ。
出版社がつくるだけではなく、
著者と共に届けていく。
この前提で、すべてを設計しています。
■ どんな方と本をつくりたいか
私が一緒に本をつくりたいのは、
・自分の経験を“意味”に変えたい方
・一時的ではなく、残るものを残したい方
・売れるかどうかよりも、届ける価値を大切にする方
です。
あなたがもし、本を書こうとしているなら――
それは単なる情報ではなく、
あなたの人生そのものになるはずです。
■ それでも、本を出す意味
ここまで現実を話すと、
「それでも本を出す意味はあるのか」と思われるかもしれません。
私は、あると思っています。
本は、時間を越えます。
人の人生を、
そのまま残すことができる数少ない手段です。
父の関わった記録が、今も残っているように。
本には、消えない力があります。
■ 最後に
私は大きなことを言える人間ではありません。
ただ一つ思っているのは、
本は、紙ではない。人生の痕跡だ。
だからこそ、軽く扱わない。
一冊一冊に意味を持たせる。
そして、その本が、
誰かの人生の中で生き続けることを願う。
万代宝書房は、これからも、
「残る本」をつくり続けます。
その先に、何が残るのかは、
読む人に委ねたいと思っています。
■ あなたへの問い
あなたは、何を残したいですか。
その経験は、言葉になりますか。
そしてそれは、
誰かの人生に届く可能性を持っていませんか。
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