クレームは会社を強くする—「相手は理解しているはず」を捨てて契約3点セットを再構築した理由
◆クレームは会社を強くする
—「相手は理解しているはず」を捨てて契約3点セットを再構築した理由
少し前、私は別々の相手から、似た内容のクレームを立て続けに受けました。
タイミングも違う。
相手も違う。
それでも、起きていることはどこか同じでした。
契約上は問題ない。
書面も整っている。
説明もしている。
それでも起きた。
売れていないのは営業していないからではないか、という趣旨の指摘が繰り返された。
一部は、言葉の強さが増し、ハラスメントに近い状態にもなった。
ここで私は、「誰が悪いか」ではなく、
何が起きる構造だったのかに目を向けました。
クレームから学び、仕組みに変えた
今回、はっきりとわかったことがあります。
クレームやトラブルは、避けるものではなく、整えるための材料になる。
私はこの経験を受けて、
契約3点セット(契約書・条件確認書・手引き)を再構築しました。
単なる書類ではなく、
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誤解が生まれない導線
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期待値ズレを防ぐ設計
-
境界線を明確にする仕組み
として見直したのです。
そして、その出発点にあったのが、この前提でした。
今回の共通点は「書面中心・関係性ゼロ」
今回の相手には、いくつかの共通点がありました。
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やり取りはほぼ書面中心
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過去に出版経験がある
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こちらとの人間関係はない(紹介ではなく直接相談)
つまり、
「関係性がない状態で、書面をベースに進んだ案件」
ここに、大きなヒントがありました。
「相手は理解しているはず」という前提
私は無意識にこう考えていました。
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経験がある人だから理解しているはず
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書面があるから誤解はないはず
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サインしているから納得しているはず
しかし現場では、この「はず」が崩れます。
特に、
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不安が出たとき
-
思った成果が出ないとき
人は、自分に都合の良い解釈へと認識を変えていきます。
書面は強い。だが、それだけでは足りない
契約書や条件確認書は、もちろん必要です。
ただ、今回わかったのはここです。
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読まれていないことがある
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読まれていても解釈がズレる
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感情で理解が変わる
そして、
関係性がない場合、このズレが修正されにくい。
書面は正しい。
しかし、それだけでは「納得」までは担保できない。
出版・サービスは「ズレ」が起きる前提の仕事
さらに今回見えたのは、事業の構造です。
出版やサービスは、
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結果が出るまで時間がかかる
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結果が保証されない
だからこそ、
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依頼側:「頼んだのだから成果が出るはず」
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提供側:「誠実にやるが保証はできない」
というズレが、ほぼ必ず発生します。
このズレは個人の問題ではなく、事業構造として起きやすいものです。
にもかかわらず、その前提への備えが十分ではありませんでした。
このズレが放置されると、
不安は不満へ、やがて要求へと変わります。
点検すべきは「前提」
今回見直すべきだったのは、行動ではなく前提でした。
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相手は理解しているはず
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経験者だから大丈夫なはず
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書面で足りるはず
この「はず」が崩れたとき、トラブルは起きます。
だからこそ、
前提を設計し直すことが、最大の改善になる。
改善はシンプルだった。やることは3つ
契約時に「なぜここまで確認されるのか」と感じた経験がある。
その意味を、今回ようやく理解しました。
①「書いた」ではなく「理解させる」
重要事項は、必ず確認する。
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成果は保証ではない
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成果には双方の関与が必要
相手の言葉で復唱してもらい、理解のズレをその場で解消する。
②「確認した」を残す
確認した内容について、
復唱・チェック・イニシャルまで含めて“理解した証跡”を残す。
「聞いていない」を防ぐのは、感情ではなく仕組みです。
③ 関係性ゼロほど、ルールを先に決める
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連絡方法は原則書面
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窓口は一本化
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範囲を明確にする
越境があった場合も、ルールに沿って整理する。
これは冷たさではなく、双方を守る線引きです。
同じことが起きるなら、構造を疑う
今回のように、別々の相手から同様のクレームが起きたとき。
それは偶然ではありません。
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誤解の余地
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期待の膨張
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境界の曖昧さ
このどこかが、仕組みに残っています。
出来事は、整えるために起きる
今回、私が得た答えはシンプルです。
出来事には意味がある。
整えるために起きている。
クレームから学び、仕組みに変える。
この積み重ねこそが、会社を強くしていく。
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