◆オフレコ破りは是か非か―法では裁けない〔紳士協定〕の話
◆オフレコ破りは是か非か―法では裁けない〔紳士協定〕の話
オフレコ破りは、正義か、それとも裏切りか。
あなたは、どこに線を引くだろうか。
※感じ方や立場によって意見が分かれるテーマです。
異なる視点があることを前提に、冷静な意見交換の場になれば幸いです。
12月20日『オフレコ破り報道 法的問題は』という元特捜部主任検事 前田恒彦の記事が出た。
1.オフレコとは「内緒話」ではない
まず確認しておきたい。
オフレコとは、単なる裏話やゴシップではない。
それは、
取材対象者と記者のあいだで成立する、暗黙の約束――
いわば「紳士協定」だ。
この協定があるからこそ、
公式発言にはならない本音
政権や組織の“空気感”
まだ言語化されていない危うい兆しが、取材の場に現れる。
オフレコは、
「情報を隠すための仕組み」ではなく、
情報に近づくための装置なのである。

2.【是】オフレコ破りが「正義」と呼ばれるとき
それでも、オフレコ破りが「やむを得ない」「正当だった」
と評価される場面があるのも事実だ。
● 国民の生命や人権に直結する場合
差別的発言、戦争や核を想起させる思想、
社会に重大な影響を及ぼす認識。
それがオフレコの場で語られたとしても、
知らされなければ取り返しがつかないことがある。
● 発言者が権力の中枢にいる場合
官邸筋、政策決定層、首相秘書官。
その立場にある人物の発言は、
もはや「個人の感想」ではない。
オフレコであっても、
それは統治の兆候として社会に影響を与える。
● 結果として是正が起きた場合
過去には、オフレコ発言の報道をきっかけに
更迭や方針転換が起きた例もある。
このとき報道は、
暴露ではなく、社会の安全弁として機能したと言えるだろう。
3.【非】しかし、私は“その先”を見る
だが、私がより重く見るのは、オフレコ破りの「後遺症」だ。
● 信頼は一度で壊れる
オフレコを破られた取材対象者は、二度と本音を語らなくなる。
そしてその影響は、一人の記者、一つの媒体にとどまらない。
● 情報源全体が沈黙する
「どうせ書かれるなら、何も言わない」
この空気が広がると、声を上げるべき内部の人間ほど口を閉ざす。
結果として残るのは、無難な公式コメント
想定問答どおりの会見
予定調和の記事
つまり、国民の知る情報は、むしろ薄くなる。
この点については、日本新聞協会をはじめ、
報道側自身が繰り返し警鐘を鳴らしてきた。
4.法では裁けない、だからこそ厄介
この問題を冷静に整理しているのが、
元特捜部検事の 前田恒彦 だ。
前田氏は、こう指摘する。
・オフレコ破りは、原則として違法ではない
・理論上、損害賠償請求は考え得る
・しかし立証や公益性の壁は極めて高い
結論として、
・この問題は法ではなく、報道倫理に帰着する。
私は、ここに最大の危うさがあると考えている。
裁かれないからこそ、歯止めが利かない。
5.では、どこに線を引くのか
私は、
「オフレコ破りは是か非か」という二択では考えない。
問うべきは、
・それは本当に公益のためだったのか?
・他に手段はなかったのか?
・記者自身が、信頼を失う覚悟を引き受けていたのか?
この条件を欠いた瞬間、
オフレコ破りは正義ではなく、単なる消費になる。
6.紳士協定は、弱いからこそ重い
オフレコは、法律では守られない。
契約書もない。
罰則もない。
だからこそ、それは信頼だけで成り立つ、極めて脆い協定だ。
法は、オフレコ破りを裁かない。
しかし、信頼は一度壊れたら、二度と元には戻らない。
私がこの問題で伝えたいのは、
その「取り返しのつかなさ」である。
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