無意識エンジンとブレーキ──心を動かす二つの力と操縦の知恵

無意識エンジンとブレーキ──心を動かす二つの力と操縦の知恵

誰の中にもある「進もうとする力」と「止まろうとする力」

 

私たちは日々、意識して考えているようで、実際には多くを「無意識」に委ねて生きています。

朝起きて顔を洗い、歯を磨き、駅までの道を歩く――それらは一つひとつ意識しているわけではありません。

 

その中で働いているのが「無意識エンジン」と「無意識ブレーキ」という二つの力です。

 

・無意識エンジン:人を前に進ませる力

・無意識ブレーキ:人を立ち止まらせる力

 

前進させるエネルギーと、立ち止まらせる制御。

この二つは誰の中にも備わっており、人生を大きく左右しているのです。

 

あなた自身も、「やろう!」と決意したのに体が動かないとき、あるいは気づいたら自然と続けていたこと、そんな経験があるのではないでしょうか。

 

無意識エンジンは習慣をつくり、ブレーキは安全を守る

 

無意識エンジンは「背中を押してくれる力」です。

朝の散歩が習慣になる、勉強が自然に続けられる、好きな趣味に夢中になる――これらはエンジンが働いている証拠です。

 

一方、無意識ブレーキは「守ってくれる力」です。

新しい挑戦の前に不安を感じる、失敗を避けて行動を止める、危険を察知して足をすくませる。

これらは決して悪いことではなく、むしろ人間にとって必要な安全装置なのです。

 

ダイエットを例に考えてみましょう。

無意識エンジンがあれば、健康的な習慣を積み重ねて自然と続けられます。

しかし、甘い誘惑や「どうせ続かない」という思い込みが強いと、無意識ブレーキが働き、前に進むのを止めてしまうのです。

 

エンジンがあるから挑戦でき、ブレーキがあるから身を守れる。

この両方の力が、人間を生かしているのです。

エンジンもブレーキもどちらも必要な存在

ここで大切なのは、「エンジンは良い」「ブレーキは悪い」と単純に分けないことです。

 

エンジンが強すぎると、止まることを知らずに暴走してしまいます。

逆にブレーキばかり効いていると、一歩も前に進めません。

 

たとえばビジネスの世界では、挑戦しすぎて無謀なプロジェクトに突っ込んで失敗する人もいれば、慎重すぎて何もできずチャンスを逃す人もいます。

どちらも極端に偏ると成果にはつながりません。

 

人生において大切なのは、「切り替え」です。

 

・前に進むべきときはエンジンを踏む

・危険を察知したときはブレーキを活かす

 

このバランス感覚こそが、自分らしい生き方を支える基盤になります。

 

無意識は「心の自動運転」、放っておくと流されてしまう

無意識の働きは、自動運転の車に似ています。

「このまま何もせずに任せていれば安心だろう」と思うかもしれません。

しかし目的地を設定しなければ、自分が望まない方向に走り続けてしまうこともあります。

 

人の思考や行動も同じです。

気づかないうちに、親から受け継いだ価値観や過去の失敗体験に基づいて進路を選んでいることがあります。

つまり、あなたが本当に行きたい場所とは違う方向へ進んでいる可能性があるのです。

 

あなたの「心のオートパイロット」は今、どんな道を走っていますか?

その問いかけを持つことが、無意識に流されない第一歩になります。

 

意識的に操縦することで人生の進む方向が変わる

では、どうすれば無意識の力に流されず、自分で舵をとれるのでしょうか。

 

答えはシンプルです。

「無意識を意識化すること」です。

 

・なぜ自分はこの習慣を続けているのか?

・このブレーキは本当に必要か?

・それともただの思い込みなのか?

 

問いを投げかけることで、自分の中のエンジンとブレーキの存在を見極めることができます。

すると、人生のハンドルを握り直すことができるのです。

 

たとえば「人前で話すのは苦手」というブレーキも、冷静に分析すると「過去に失敗した経験が原因だった」と気づくかもしれません。

それに気づけば、新しい挑戦に一歩踏み出せるのです。

 

自分の道を選び、紅の旗をたてよ

無意識エンジンとブレーキは、常にあなたの中で働いています。

その力に流されるのか、自分で操縦するのか。選ぶのはあなたです。

 

・進む力を信じてアクセルを踏むのか。

・恐怖に縛られてブレーキを踏み続けるのか。

 

どちらも大切な力ですが、それをどう使うかはあなたの意志次第です。

そして、自らの選んだ道に旗を立てたとき――その旗は、あなた自身の生き方を示すシンボルになります。

 

だからこそ、迷うことなくこう宣言しましょう。

 

紅の旗をたてよ。

それが、無意識に流されず、自分の人生を生き切る第一歩なのです。

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