出版詐欺の被害を防ぐために──信頼できる出版社を選ぶ目を持とう

出版詐欺の被害を防ぐために──信頼できる出版社を選ぶ目を持とう

 

頼られたはずの相談者が、いつの間にか別の出版社へ

昨年の春、ある方から出版のご相談をいただきました。

「原稿はすでにある。秋から書き直しを始めて、来年(辰年)には出版したい」との希望を聞き、打ち合わせを重ね、仕様・見積もり・スケジュールを提示。口頭で合意が取れたため、仮編集まで進めました。

ところが、契約書にはなかなかサインがもらえず、そのまま本格的な編集作業には入れないまま数ヶ月が過ぎました。

そして2ヶ月後、「他社から出版したい」との連絡がありました。

正直がっかりしましたが、その出版社の営業マンは確かに上手かった。相手は大手出版社の取締役という肩書きでしたし、紹介者もいました。自分の勉強代だと思い、仮編集の費用も請求せずに了承しました。

本が出版されたのは…裏を知る出版社だった

その方の本が出版されたという話を、最近になって別の方から耳にしました。検索してみると、その出版社は、かつて私がゴーストライターを務めていた会社。内部事情もよく知っています。

最初は、「名前の通った出版社から出すのだから、それが著者にとってベストかもしれない」と自分を納得させて引き下がりました。しかし、もしその出版社から出すのなら、今後かなりの費用を請求されるはず。ブランディング面でも、著者の評価が下がるリスクを感じました。

あの時、「万代宝書房のブランドをもっと高めなければ」と強く思ったのです。そうでないと、著者の出版したいという気持ちが、悪質なビジネスの道具にされてしまう。著者自身が“食い物”にされてしまうのです。

同じような相談が、またやってきた

つい先日も、ある方から出版相談がありました。

なんと、他社の見積もりをわざわざ送ってきて、「急にあなたのことを思い出した」と言ってくださいました。

その見積もりを見ると、かなり高額。しかも、提案されていたブランディング手法にも疑問を感じました。さらに、別の方は某出版塾に高額な契約をしようとしていたそうで、本人が不安に思い、相談の相談を重ねて最終的に私のところに話が回ってきました。

契約直前だったため、なんとか“被害”を防ぐことができました。

被害者は、もう6人目

振り返れば、同様の出版被害にあいそうになった方は、私の周囲だけで6人目になります。中には、2年前にかなりの金額を支払ったにもかかわらず、いまだに出版されていないという方もいます。

「何と言っていいのやら……」

出版の世界には、誠実な出版社もあれば、そうでないところもあります。

著者の想いや原稿を、ただの「商品」としか見ていない会社に渡ってしまえば、時間もお金も、そして夢も失うことになりかねません。

だからこそ、私は頑張らなくてはならない。

これ以上、出版被害にあう方を増やさないために。

 
 
 

 

 
 
 

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