「重版決定!」って実は増刷のことかも?
「重版決定!」って実は増刷のことかも?
〜出版における“刷り”の違い、ちゃんと知ってますか?〜
書店やSNSでよく目にする「重版決定!」の文字。
著者の方が喜んで報告していたり、出版社がプレスリリースで取り上げていたりしますよね。
たしかに“重版”は、本が売れている証拠。
でも、実はそこで言われている「重版」、正確には“増刷”のことかもしれないって、ご存じですか?
「重版」と「増刷」──混同されやすいけれど、違うんです
出版業界では、本の印刷に関する言葉として「重版(じゅうはん)」と「増刷(ぞうさつ)」という2つの用語が使われます。
しかし、業界の外ではしばしばこの2つが同じ意味として扱われているのが現状です。
“重版”という言葉に「売れてる!すごい!」というイメージが定着しています。
ですが──
「増刷」と「重版」は明確に違います。
これを知っていると、著者・編集者・読者としての“目”が一段レベルアップします。
なぜ「重版決定!」と表現されるのか?
実務的には、「初版1刷」→「初版2刷」への印刷増加、つまり増刷であるにもかかわらず、
SNSや報道では「重版」と表現されることが多いです。
これは単純に、“重版”のほうがインパクトがあり、伝わりやすいから。
実際には「重版=版を変える」「増刷=刷りを増やす」といった定義の違いがあります。
本記事でこれから扱うこと
このブログでは、次のセクション以降で以下のような違いを、丁寧にわかりやすく解説していきます。
- 増刷とは何か?(初版2刷など)
- 重版とは何か?(第2版など)
- 改訂版や再版とはどう違う?
- 著者・読者・出版社の立場で見たときの意味の違い
◆ 今日のまとめ:
💡「重版決定!」と書かれていても、それは“増刷”かもしれない。
本の「版」と「刷り」の違いを知ることで、出版の奥行きが見えてくる。
続く第2回では、まず「増刷」について基本から解説します。
出版関係者も意外とあいまいにしている“刷り”の話、整理してみましょう。
次回 → 「まずは基本から:増刷とは何か?」
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